文=アニエス・ジアール
在仏カウンターカルチャー専門ジャーナリスト、アニエス・ジアール&フランシス・ドゥドブラー。親日家でもあるお2人が、世界のフェティッシュ事情をお届けします。フランスのフェティッシュ・シーンにおいてフランシスは最重要人物の1人なのですが、ベルギー人であるフランシスは母国への複雑な思いを抱えているようです。
フランシス・ドゥドブラーはベルギーを離れたとき、故郷の人達に自分の成功を見せつけてやることを心に誓った(ただし、別の場所での成功を)。
ベルギーでは、よくこういうことを言われる。「目立つな」「身の程をわきまえろ」「気をつけろ、隣人が見ているぞ」……。とても因習的な考え方。
そんな訳で、多くのベルギー人が表現したり才能を表す為に自らパリへ行くことになる。ジャック・ブレル、アンリ・ミショー、マルグリット・ユルスナール、アメリー・ノートン、レーモン・ドゥヴォス、ジョルジュ・シムノン、エルジェ、フランカン、ジョニー・アリディ、等々。最も良く知られているベルギー人は皆、フランスで有名になっている。フランス人に感謝を……。
フランスでとても有名になるという、全く同じ現象がある特定の日本人にも起こる。水野純子、市場大介、丸尾末広、佐伯俊男、等々。日本では、「斬新」過ぎる漫画家は簡単には認められない。フランスでは反対に、とても評価が高い。フランスという国は、因習に逆らう芸術家を愛する。
左/クレアとオリヴィエ:彼女は子どもではありません。彼女はLilliputienne(完全な身体を持った小人)です。5年前のフェッティシュ・パーティ「la Nuit Elastique(柔軟な夜)」の間に2人は恋に落ちたのです。
右/メラニー:彼女はインダストリアルロックのバンド「AGAPESIS 」のボーカルです。このバンドはまったく有名で、「フェティッシュ・アセンブリー」でギグを行ないました。
左/ラバーとブライズ:彼らは自分たちの風変わりな愛のウェブサイトを持っています。
右/カーラデビル:彼女はラバーの衣装を修理します。また自分のラバー衣装も自分で作ります。
フランシス・ドゥドブラーがフェティッシュ・パーティ「la Nuit Elastique(柔軟な夜)」、「デモニア」、を立ち上げると、フランスで有名人になった。今やフランシスがベルギーに行くのは、墓場に行くような感じだという。
毎回、フランシスは私にこう言う。「ここでは何にも起こらないんだ。みんなテレビをみてるよ。この40年間、ロック音楽で踊ること以上のことは知らないんだ。古くさい考えだよ」その事実が、フランシスを苦しめている。
2回に1回、フランシスは「フェティッシュ・アセンブリー(フェティッシュな集い)」をブリュッセルで開催する。首都では、他のフェティッシュパーティは特に見あたらないのだ。ドミナ(女王)のサレムが船上パーティを定期的に開催しているけれど、それにしたって、たったの100人しか集まらない。「フェティッシュ・アセンブリー」だって300 人しか集まらない。
フランスで開催する時とは比較にもならない。
フランシスは、ベルギーでの開催をきっと止めるでしょう。私もこんな気分になるのはもう充分。2008年9月27日、フランシスは私に言った。「(ベルギーでフェティッシュパーティーが開催されるのは)この次が最後かもしれない、僕が止めた後は。どうして、楽しみの邪魔をする奴らと闘わなきゃなんないんだ?」
左/TOO LADIES:彼らはフェティッシュ・スタイリストです。コルセットやドッグ・マスクを作っています。
右/ラテックスボーイ:彼の衣服はSophie Libertine、彼のミストレスによって作られました。
パーティの間、これが最後かもしれないと思いながら写真を撮っていた。
私が写真におさめたのはほとんどがフランス人ばかりだった。フランス人は皆楽しんでいた。他の人たちは……踊ってもいなかった。なぜって、ロック音楽しか知らない人たちだから。
フェティッシュ・アセンブリーのフライヤーには、(早川)舞が載っている。フランシスは、この3年間『ラ・シオラ』の舞の写真を撮り続けている。とっても美しい写真。このパーティに300人も集まったのは、この写真のおかげかもしれない!
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