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▼ 欧州フェティッシュジャーナル 【22】お隣さん Ma voisine

文=アニエス・ジアール

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「S&Mスナイパー」本誌でおなじみの在仏カウンターカルチャー専門ジャーナリスト、アニエス・ジアール&フランシス・ドゥドブラー。親日家でもあるお2人が、世界のフェティッシュ事情をお届けします! 今回スポットが当てられるのはアニエスの隣人。「非性愛・ノンセクシャル」にまつわるアニエスの見解とは……


パリのサン・ジェルヴェ通りから30メートル程の場所に住んでもう10年になる。お隣は、私と同じ時期に引っ越してきた。その人に初めてあった時、とても怖かった。まるで幽霊みたいに真っ白だったのだ。お隣さんは私を変な目で見た。

彼女は、いつも捨て猫のことで忙しくしていた。4匹の猫と暮らしていて、抗鬱薬を飲んでいた。ある晩、死んでしまいそうだといって電話してきた。私は、1 時間ずっとお隣さんの手を握っていた。彼女は猫に囲まれてベッドに横になっていて、一度(妄想で)恐ろしさのあまり悲鳴を上げた。

私はこの時、フェティッシュな衣装のカップルのためにいくつかのパーティをこの建物でオーガナイズしていた。お隣さんはこのカップルたちに話しかけた。「あなたたち、アニエスに会いにきたの? 案内するわよ」けれど、彼女はこのフェティシストたちを病気だと思っていた。

ある日、この人は私に恋をしているのだと気がついた。そ。れは私がフランシス・ドゥドブラーと別れたと言った日だった(毎年、私はフランシスと別れることが習慣になっている)。お隣さんは「ああ、そしたら女の子とつき合えばいいじゃない!」と言って真っ赤になった。少したってから、自分がレズビアンだと私に告白した。

でも、それはうそだと思った。彼女は、これまでに男とも女ともつき合ったことがなかったから。セックスをしたことがなかったのだ。後で、この人は私に自分は非性愛・ノンセクシャルだと言った。でも、それもまたうそだと思った。セックスとは無関係だということは、その人がいかなる欲求も感じないということ、そしてそういう人は必ず、自分は幸せだと言う。けれど、彼女は幸せではなかった。

一方で、私は非性愛・ノンセクシャルの人には大きなうそがあると思う。人間は欲求なしでは生きていけないから。私はこの話題で非常に乱暴な記事を書いた。「非性愛・ノンセクシャルは癌のようなものだ。『私には腫瘍があって、それを誇りに思っている』と言っているようなものだ。もし腫瘍があったとして、それを誇りに思えるだろうか。非性愛・ノンセクシャルは(言葉が分からなくて)話せないのと同じだ。怠惰で愚かなことを祝う方法を私は知らないし、知らないことを誇りに思う」と。

この記事をお隣さんに読んで聞かせた。3年前だった。最初、彼女は私に対してとても怒った。私はこう言った。

「セックスというのは訓練が必要なの。日本人を見てごらんなさい。彼らはセックスを遊びとみなしているじゃない。でも、上手に遊ぶためには、練習が必要だし、繰り返すことも、持続させることも必要なの。」

2年前、このお隣さんは出会い系サイトに登録をした。そして、レズビアンのパーティに行ってみた。

1年前には男性と女性のトランスセクシャルがいるパーティに足を運んだ。彼女はその人たちの写真を撮ってきた。

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今、私のお隣さんはドミナ(女王)になっている。2カ月前から、彼女はSMとフェティッシュのパーティには全て顔を出している。一人のスイスに住んでいるM男が彼女に恋をしている。このM男は彼女とヴェニスに旅行に行きたいそうだ。でも誰が彼女の猫の世話をするのだろう???

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