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▼ 欧州フェティッシュジャーナル 【3】ファーザー・セバスチャン・トッド

文=アニエス・ジアール

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在仏カウンターカルチャー専門ジャーナリスト、アニエス・ジアール&フランシス・ドゥドブラー。親日家でもあるお2人が、世界のフェティッシュ事情をお届けします! 連載3回目の今回は、「ヴァンパイアの牙」デザイナー:ファーザー・セバスチャン・トッドを紹介します。


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ファーザー・セバスチャン・トッドはオランダ系アメリカ人で、義歯デザイナーだ。
その義歯とは、ヴァンパイアの牙で、飲んだり食べたり……同じように噛み付くこともできる(首がゾクゾクして、すごく興奮する!)。

私は、セバスチャンと2003年にネットで知り合った。その時代、セバスチャンは自分がヴァンパイア・ムーブメントの担い手だと称していた。それと同時に、「ストリゴイ・ヴィー」(ルーマニアの「実在の吸血鬼」)であるとも名乗っていた。

「実在の吸血鬼」とは、シリアルキラーでゾンビのような「ドラキュラ」とは違う。
実際のヴァンパイアは、SMやフェチ、ニーチェ(※1)、アレイスター・クロウリー(※2)、アントン・ラヴェイ(※3)を愛していて、楽しむために牙をつける、ただの人達のことをいう。

ニューヨークから来た牙デザイナーのセバスチャンは、巨大イベント「ヴァンプ・パーティ」(アメリカの「エンドレス・ナイト」のようなパーティ)、次に「サンギナリウム(Sanguinarium、※4)」と呼ばれるインターネット上のコミュニティ、そういうものを売り出す前に、まず「セイバートゥース(※5)」という牙(義歯)のブランドを創設した。

2003年にセバスチャンを「デモニア(※6)」に招待したとき、とてもがっかりした。最初は、マッチョでひどく自己中心的だったのだ。私は、(例えばS&Mスナイパー等で)セバスチャンについての記事を書いたり、侮蔑的な態度以外何も得られないまま様々なイベントに協力させられた。私には大きな苦痛だった。

けれど、人間というものは時に変わる。愛に感謝を……。

2006年、デモニアの会場で彼は、ユーモアにあふれ、エネルギッシュでとても可愛いフランス人の女の子(カルチェラタンのストリップ嬢)と出会った。

セバスチャンはその彼女と一緒にフランスで身を落ち着けるという道を選んだ。

今、セバスチャンは優しい。だから、私はセバスチャンに会うと嬉しくなる。

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<訳者註>
※1:ニーチェ……「神は死んだ」というフレーズが有名な哲学者。
※2:アレイスター・クロウリー……オカルト作家。
※3:アントン・ラヴェイ……1966年にアメリカで「悪魔の教会」を設立したオカルティスト。
※4:サンギナリウム……米ドラマ『X-ファイル』シリーズ第4シーズン第6話の原題(造語)。
  語源は英語のsanguinaryで 流血の;流血を好む,凶暴な、血の;血のついたという意味から。
※5:セイバートゥース……『Xメン』の登場人物。ミュータント・テロ軍団の一員。
※6:デモニア……ヨーロッパ最大規模のフェティッシュパーティ。オーガナイザーの一人がフランシス・ドゥドブラー。


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