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▼ コルセティエの見る夢は 第3回 トライバルグラフィックデザイナー「阿妓-AGI-」【1】
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文・コルセット製作=PureOne(P.C.W)

モデル・スタイリング=阿妓-AGI-(HaZer)
写真=winchrome

男性のコルセット職人を「コルセティエ」と呼びます。フェティッシュ・アイテムとしてのコルセットにこだわらず、深い伝統と格式に裏づけられたコルセットを模索する新進気鋭のコルセティエ、「Pure One Corset Works」のPureOne氏。そんな彼が製作するコルセットを、写真とPureOne氏自ら語る制作秘話や解説などとともにご紹介する、フォトギャラリー連載です。第4回はご自身も好んでコルセットを着けていらっしゃるという、トライバルグラフィックデザイナー「阿妓-AGI-」さんにモデルとしてご登場いただきました。「P.C.W」とインディペンデントで活躍されているアーティストとのコラボレーションです!


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さて、いきなり問題です。

私の「P.C.W(PureOne Corset Works)」の名刺には、肩書きを何と記載されているでしょうか!?
「デザイナー」「コルセティエ」「代表」などを思い浮かべる人が多いかもしれません。
正解は「何も記載されていない」です。


人からは、いろんな肩書きで呼ばれます。
だいたい「コルセット職人」か「デザイナー」かのどちらかです。
私は自らを「コルセット職人」と呼ぶことはあっても、「デザイナー」とは呼びません(『フェティシストが愛する名匠』では、『コルセットデザイナー』となっておりますが、まぁカタカナの方が見栄えがいいですし、分かりやすいのでそうしてあります(笑))。


人が私を「デザイナー」と呼ぶのは構わないのですが、自ら名乗らない理由があります。
それは「P.C.W」が、「デザイナーズブランド」ではないからです。
「ファッションブランド」というと、「デザイナー」がいて服をデザインし、「パタンナー」がそれを型紙に起こし、と連なっていると考える方もいらっしゃいますが、それだけが「ファッションブランド」ではありません。
「P.C.W」は「デザイナーズブランド」ではなく、「メゾンブランド」なんです。
流行を追いかけ、デザイン重視で、入れ替わりが激しい服ではなく、歴史や伝統、技術、哲学、美学を背負い、クラフトマンシップにのっとったコルセット製作こそ「P.C.W」の理念です。


「P.C.W」は、「デザイナー」がいないブランドなんです。
分かりやすくいうと、メンズテーラーのお店に近いです。
ある程度の形は決められていて、それに対してお客様と相談をしながら製作が始まります。
全くコルセットを知らない方でも、少しずつ分かりやすく説明し、納得していただけるコルセットを作ることを目指します。
お客様が「デザイナー」である、とも言えるのです。


昔、大学の後輩から「大学を卒業してエスモードと文化服装学院のどちらかに進学したい。ファッションデザイナーになるには、どっちに進学した方がよいですか?」と質問されたことがあります。
正直、どっちでもいいです。
どっちも立派な学校です。
カリキュラムや教え方は違うと思いますが、どちらの学校でもデザイナーに必要な知識と技術を教えてくれるはずです。
要は「やり抜く根性があるか!?」「やる気があるか!?」だけです。
そして何もこれは、「ファッションデザイナー」だけに限ったことではありません。 


例えば、「P.C.W」の名刺には、大きくロゴマークが印刷されています。
これは私がデザインしたものではなく、トライバルグラフィックデザイナーの「阿妓-AGI-」さんに依頼をして制作して頂いたものです。
阿妓-AGI-さんは、タトゥーなどのトライバルデザインをされている方なのですが、私自身が阿妓-AGI-さんのデザインの大ファンで、依頼に関して、最小限の条件だけでほぼ丸投げしました。
提示した条件は3つ。

1:モノトーンであること。
2:P.C.Wの文字は大きく目立つこと。
3:PureOne Corset Worksの文字は、ちゃんと読めること。

これだけです。
もう少し詳細をいうと「P.C.Wの文字は、読めなくても構わない、崩してもよいからカッコよくして下さい。そのかわり、ありがちな書体でも構わないので、PureOne Corset Worksの文字だけは、ちゃんと読める
様にして下さい」とお願いしました。
出来上がりは、私自身物凄い満足のいくもので、名刺を渡した人の評判も非常によいものです。


阿妓-AGI-さんは、立派なデザイナーさんですが、別に阿妓-AGI-さんがデザイナーかどうかなんて私にはあまり関係ないのです。
阿妓-AGI-さんが責任を持ち仕事をこなしてくれて、素敵なデザインをしてさえくれれば、それで一向に構わないのです。
私は、デザイナーに頼んだのではなく、阿妓-AGI-さんにデザインをお願いしたのですから。


結局中身の問題です。
私自身、肩書きなんて、関係ありません。
色んな経験を経て、肩書きの馬鹿馬鹿しさから解き放たれたとき、“個”というものがしっかりしてきたと思います。
私が、名刺に肩書きを書かないのは、”個”に対する自信の現れでもあります。


よく若い人から「ブランドを立てるにはどうしたらよいですか?」と質問されます。
その時、私は必ずこういいます。
「ブランドなんて立ち上げるのなんて簡単!バンド組むみたいなもんだから!」
結構、あっさりと答えるので、聞いている人はあっけにとられます(笑)。
ギターを握れば、アマチュアでもギタリストです。
ブランドを立ち上げるなんて、簡単です。


私の場合、専門学校で「アパレルマーチャンダイジング科」を卒業しており、「ブランドの作り方」を主に勉強してきました。
内容は「人気ブランドにするにはどうしたらよいか!?」「利益を上げるための原価設定は!?」と、かなり複雑な内容です。
しかし、初めからこの方法はいらないと思っています。
なぜなら、学んで、実践してみて、「これは勘違いだった!」「これは机上の空論!」となる発見はいくらでもあるからです。
何事も実践してみなくては分かりません(だからといって、「学校で勉強をしなくてもいい!」という理由にはなりませんよ!(笑))。


ブランドビジネスとは、人に「自信」と「価値」を与える仕事だと思っています。
ロレックスの時計をはめる。ベンツに乗る。カルティエのリングを着ける。ヴィトンのサイフを持つ。
これらは、買ったお客様に「自信」と与え、「価値」を身に付けさせます。
ブランドを立ち上げようとするならば、自らが価値を想像しなくてはなりません。そして、自らが価値ある人間にならなくてはなりません。

自信を持ち、価値のある存在である。
自信を与え、価値を与えられる存在である。

そしてきっと、「ブランドのあり方」も「デザイナーのあり方」も、一緒なのでしょう……。

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