文・コルセット製作=PureOne(P.C.W)
写真=winchrome
モデル・スタイリング=真白
男性のコルセット職人を「コルセティエ」と呼びます。フェティッシュ・アイテムとしてのコルセットにこだわらず、深い伝統と格式に裏づけられたコルセットを模索する新進気鋭のコルセティエ、「Pure One Corset Works」のPureOne氏。そんな彼が製作するコルセットを、写真とPureOne氏自ら語る制作秘話や解説などとともにご紹介する、フォトギャラリー連載です。今回はパッチワークコルセットの後編!
コルセット製作を私は独学で学びました。
海外からパターンや本を輸入し、国内で手に入れられるコルセットをサンプルとして学びました。
学ぼうと思えば、インターネットの発達した現代。
どこからでも情報を得ることが出来ます。
ただ、縫製のことも何も知らず、コルセットを手がけるとなるとやはり問題が多いようです。
最近はコルセットを手がけている方が多くなって来たようですが、上手く出来上がる人が少ないのは、縫製の基礎が出来上がっていないうちに複雑な構成のコルセットへ手を付けてしまったからだと思います。
スカートやシャツといったパターンが上手く出来ないうちからコルセットの製作をするのは、やはり難しいと思われます。
とはいうものの、私も最近コルセットの製作ばかりで、それ以外をあまり手がけていないので偉そうなことは言えませんが……(苦笑)。
では、縫製を学ぶにはどんな方法がよいのか?
基本的に2つの方法があると思います。
一つ目は、学校に通うこと。
二つ目は、実践で師匠につくこと。
一つ目の学校、これはどこでも同じだと思います。
私も以前は「文化服装学院」という専門学校に通っていました。
この学校の卒業生達は、アパレル業界の第一線で活躍される方も多く、アジアでもトップクラスの規模を誇る服飾学校です。
特徴としては、非常に丁寧な指導であること。
まず必要な事柄は全て教わります。
システマティックで、かつ画一的です。
量産を目的としているアパレルにおいて、この“画一感”というのは非常に大事なことなのです。
二つ目の師匠につくというのは、非常に昔ながらの方法です。
その師匠の流派というのを受け継ぐ目的なので、画一的ではなく偏ります。
懇切丁寧に教わるものではなく、見て、真似て、技を盗むというやり方です。
それだけに師匠を選ぶ際には「この人でなければならない」という強い想いがなければ務まりません。
その分、学校で教わることが出来ないことを、縫製のみならず学べる側面も持ち合わせています。
私はどちらのやり方も学んでいます。
コルセットについては独学ですが、縫製というものに対しては師匠がいます。
仕立て屋稼業3代目である私にとって、祖母と母は師匠でもあります。
また、それとは別に自分が師匠として敬意を払っている衣装屋がいらっしゃいます。
懇切丁寧に学ぶだけで終わってしまうと、衣装屋としての品格が失われるような気がします。
やはり昔気質の方法、見て学ぶというのは大事なことです。
「師匠はこうやって縫っている。それはなぜだろう? なぜこのように縫わないのだろう?」
教えてもらえない分、そこで一度自分で意味を咀嚼します。
技術、動作、一つ一つに意味があります。
そこで質問をしてみる。
まだ質問の答えがちゃんと理解出来るレベルまで達していなければ、却下される。
でも、しばらくすると質問をしなくても自分で手を動かしている間に自然と分かってくる。
師匠について学ぶというのは、そういうことの繰り返しだと思います。
無言のコミュニケーションというものが、そこには存在します。
学校だと、そう言う訳にはいきません。
分からなければ、即質問。
先生は答えてくれるでしょうが、返ってくる答えは画一的で教科書に沿ったものです。
以前、何かの本に「教育とは、達人の技を“型”として伝えることである」と書いてありました。
なるほどと思いましたが、逆に言えば教育とは“技”や“型”を教えるのみの場所になっていることもあるかと思います。
独学で足りないものは、学校で補えます。
しかし、学校とはまた別のことを学びたければ、本当に尊敬出来る師匠についた方がよいと私は思います。
先程、師匠につくと画一化されず偏ると書きましたが、画一的でないからこそ個性が出ます。
ものを突き詰めていくと画一化を越えて、どんなことにでも通用する普遍の真理というか哲学のようななものにぶつかります。
そして、たとえ異業種間であっても通じるものが必ずあり、そこで人と話し合えることが一番大切だと思います。ものを突き詰めることは、実は一人ではなし得ることが出来ないと私は思っています。
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