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▼ すあまにあ倶楽部 第20回 おじさん失格【2】

文=抱枕すあま
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↑両親が趣味の家庭菜園で作ったサツマイモ。「ヘビみたいで縁起がいいでしょ」と自慢気に言われるが、どうみてもウンコだと思う。


なるほど。双子が同じものを欲しがった場合、半分に分けてあげれば、ケンカすることもないのです。しかし、草餅を半分ずつではオヤツとして満足できなかったようだったので、二つ目のお土産であるキティちゃんのクッキーの箱を開けました。すると、キティちゃんのシールが1枚だけ入っているではありませんか。姪っ子たちは、二人ともキティちゃんのシールを欲しそうにしています。私は、すかさずキティちゃんのシールをハサミでタテ半分に切ってあげました。

「なかよく、半分ずっこだよ。キティちゃんの右脳がいい? それとも、左脳の方がいい?」

すると、姪っ子たちは「何でそんなことするの?」と言いながら、泣きだすではありませんか!! 「何でそんなことするの?」なんて、付き合った女性にセーラー服を無理矢理着せようとした時にしか、言われたことのない言葉です。

私は、深く反省しました。何でもタテ半分に切ればいいということではなかったのです。今度からは、ヨコ半分に切ることにします。そして、こう言うのです。

「頭頂骨がいい? それとも、下顎骨の方がいい?」

完全に嫌われてしまった私を置き去りにして、姪っ子たちはお祭りへと出掛けて行きました。去年の夏祭りに買った水笛がなくなってしまったので、どうしても欲しかったようなのです。水笛というのは、小鳥の形をした笛の中に水を入れ、アナル……じゃなくて尻尾の部分から息を吹き込むと、「ピーピー」と鳥のさえずる音が鳴るオモチャのことです。

休日は、ひたすら布団の中で抱き枕ちゃんとの愛を確かめ合う私です。それなのに、この日は姪っ子たちがいたので、ゆっくりと昼寝をすることもできません。家に誰もいなくなったのを確かめると、その辺にあった座布団を抱きしめながら、私は眠りについたのです。さすがに、両親には抱き枕と同棲していることを秘密にしているので、抱き枕ちゃんたちは東京の自宅でお留守番です。

いい気持ちで寝ていると、「ピーピー! ピーピー!!」という水笛のけたたましい音で起こされました。うちの抱き枕ちゃんたちなら、私が寝ているときに、こんなに大きな音を立てたりしません。きっと、親のしつけが悪いのでしょう。ついつい、姪っ子たちを叱ってしまいました。

「仕事で疲れているんだから、ゆっくりと寝かしてくれ! 私は、会社で常に神経を使う繊細な仕事をしているのだよ。今は原油や原材料が高騰している時代だからね。同じ商品でも、付加価値を付けないと、他社との競争には勝てないのだよ。だからね、私はチョコレートに文字を刻んでアルファベットチョコにしたり、割り箸が必ずヘンな形に割れるように細工したりという、世界を動かすとっても重要な仕事をしているのだよ」

姪っ子たちは、私の教養に満ち溢れた話が理解できなかったようで、さらに「ピーピー! ピーピー!!」と水笛を鳴らし続けました。悔しいので、私は長渕剛の『ろくなもんじゃねえ』を歌ったのでした。でも、このままでは私が負けたみたいだったので、姪っ子たちが家に帰るとき、そっと水笛にキティちゃんの右脳と左脳のシールを貼ってあげましたよ。けけけっ。

(続く)


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