文=抱枕すあま
↑『人妻変奴通信〜破滅願望の女〜』(SCRUM)より。鞭による傷跡が生々しい。『PAIN GATE』シリーズの総集編なのに、なぜだかこの作品も特典映像として収められています。社長に「なぜ?」と聞いたら、「いや、なんとなく入れてみた」と答えてくれました。
SM業界で最もハードな責めを映像化している『SCRUM』から、『PAIN GATE』シリーズの総集編が発売されるという。『PAIN GATE』シリーズといえば、志摩紫光氏、風見蘭喜氏、ミラ狂美氏の三人が責め手として登場する人気作品である。
私は、全作品のプロデューサーでもある社長への独占インタビューを敢行するため、アポなしで『SCRUM』社へと向かったのであった。
す「ど〜も、すあまだす!」
社「やあ、久しぶり。そういえば、すあま君が書いてる『WEBスナイパー』のコラムってなんだっけ。え〜と……そうだ! 『すあマジック天国』だったよね?」
す「なんだか、老舗SMビデオメーカーとテレビ東京の人気番組の名前が混じってますよ……」
社「そうだっけ? まぁ、そんなことはどうだっていいんだけど、あのコラムって終わっちゃったんだね」
す「は、はい!? 私が知る限り、まだ続いているはずですけど……」
社「あれ、そうだっけ?」
す「ま、まさか、本当に終わってないですよね? コラムの掲載が終わったのに、ずっと編集部のI氏に、抱き枕がどうしたこうしたという原稿を送り続けていないですよね? なんだか、死んだことに気づかず、魂だけがさまよってる地縛霊の気持ちが分かるような気がしてきましたよ……」
社「だって、ここ最近、すあま君のコラムは掲載されてないでしょ?」
す「掲載されてますってば! ただ単に、掲載回数が少ないだけです!! 大洋図書の社内規定で、抱き枕コラムの掲載は月2回までと定められているのですよ」
(※編集部注:そんな社内規定はありません!!)
社「へぇ〜、そうだったんだ。だって、いつも遠藤さんばっかりコラムを書いてない? 元ニートの遠藤さんよりも仕事してないの? すあま君って、会社でも仕事してないでしょ?」
す「どうせ私は仕事のできないダメ人間ですよ! 週末は、家に引きこもって焼酎『大五郎』の水道水割りばかり飲んでますよ!! ツマミとして、駄菓子の『よっちゃんイカ』を少しずつ囓りながらね。この未曾有の大不況で、私の安月給じゃ発泡酒すら飲めねぇや。けっ!!」
社「相変わらず、すさんだ生活を送ってますなぁ……」
す「お金さえあれば、うちの抱き枕ちゃんたちを私立の学校にも入れられるんですけどね。格差社会ですなぁ。ところで、『PAIN GATE』の総集編が出るそうじゃないですか」
社「そうなんだよね。ようやく、総集編が作れるくらいまでの作品数になったんだよ」
す「総集編ということは、撮影の費用がかかりませんよね?」
社「まぁ、一から撮影することと比べたら、費用はかかってないよね」
す「となると、売り上げのほとんどが利益ですね……。貴様ぁ〜っ! おいしい商売しやがって!! こっちは極貧生活を送っているというのに、貴様は毎晩のようにカニを食っているんだろう!! さぁ、吐け! 吐くんだ!!」
社「や、やめろ! オレの首を絞めたって、鵜飼いの鵜のように口からカニは出てこないから!! 断っておくけど、総集編って意外と人気がないものなんだよ。それに、今はDVDがまったく売れないしね」
す「ホントですかぁ〜?」(社長を懐疑の目で見つめる)
社「いやいや、今のDVDの市場は、すあま君が想像しているよりもひどいよ。大氷河期だよ」
す「えっ!? マンモスでも甦りましたか?」
社「マンモスは甦ってないけど、かなり急激に変化しているんだから。まるで、『おたふくソース』みたいだよ」
す「えっ!? 『おたふくソース』って、そんなにも味が急変しているんですか?」
社「だって、昔は絶対に『キッコーマン』だったんだよ」
す「『亀甲マン』ですか? 全裸に亀甲縛りだけのヒーローが大活躍する大きなお友達向けのアクションドラマですよね? だけど、縛られているから、ヒーローなのに何もできず、毎回必ず負けてしまうんですよね」
社「違う違う! 醤油メーカーの『キッコーマン』のこと!! オレって、昔は『キッコーマン』しかダメだったんだけど、最近は『おたふくソース』じゃないとダメなんだよ。歳とともに、味覚って変わるものなんだよね」
す「貴様の味の好みの話かい! わかりにくい例えをするな!! それに、『キッコーマン』は醤油だけど、『おたふく』はソースでしょ?」
社「あっ……。オレは何と間違えたんだろ……。だけどさ、マジでDVDの販売は厳しいんだよ。販売店でも閉店したところが多いでしょ? そういえば、八王子の『アップルビデオ』さんも閉店しちゃったし。これから、さらに閉店する店舗が増えると思うよ」
す「この後、『SunShop』へ寄ってDVDでも買って帰りますよ。私のコラムのオフィシャルスポンサーのひとつですから、閉店されたら大変ですし。ところで、収録されている作品の中で、一番人気があった作品はどれなんですか?」
社「おっ、なんだか取材っぽくなってきたね。やっぱり、風見蘭喜さんの『向日葵の華』と『有刺鉄線傀儡』が人気があったかな。『PAIN GATE』シリーズの場合、打撃系の責めがある作品の人気が高いみたいだね」
す「たしかに、針とかは痛みが伝わりにくいかもしれませんね。ミラ狂美さんが『閃光花火』の中で局部縫合をやってますけど、モザイクがあると何をしているのかがよく分かりませんし、男性にとっては、その傷みが想像できませんからね。逆に、ちんこの皮を縫い合わせる映像を見せられた方が、痛みが伝わる気がしますよ。売れるかどうかは別として」
社「局部縫合もそうだけど、打撃系以外でもぬるい責めは一切してないからね。有刺鉄線で縛るなんてこと、他のメーカーじゃ絶対にやらないでしょ? たぶん、大手のメーカーじゃ規制に引っ掛かって流通できないと思うし」
す「DMMじゃ、絶対に借りられないレベルの超ハードな責めですよね。それはそうと、今回の総集編の見所は、どんなところですか?」
社「だって、総集編だからね。まぁ、特に……」
す「ないんだ……」
社「いやいや、ないって訳じゃないんだけどさ。ただ、人気のある打撃系だけじゃなく、針責め、電流責め、水責めと、1枚のDVD中にいろいろな責めが詰まっているから、お得だと思うよ。例えるなら、いろいろなおかずが入っている幕の内弁当みたいな感じかな」
す「幕の内弁当ということは、もっとリーズナブルな唐揚げ弁当や海苔弁に比べて、あまり人気がないということですか? さっきから、例えがわかりにくいんですが……」
社「まぁ、確かに幕の内弁当はあまり食べないけどね。だけど、ビールのつまみとしては、結構いけるもんだよ」
す「なるほど。総集編のDVDは、ビールも一緒に買いなさいということですな」
社「全然違うよ……。ただ、『SURUM』としてはお求めやすい価格に設定したし、『PAIN GATE』シリーズの入門編として見てもらえれば嬉しいかな」
す「ところで、総集編にはつきものの未公開シーンとかは入ってないんですか?」
社「実は、『向日葵の華』と『閃光花火』の2作品は、撮影テープから再編集したんだよ」
す「おおっ! やるじゃないですか!! 総集編のわりには、お金をかけてますね。しかし、なんでまたこの2作品だけ再編集したんですか?」
社「ここだけの話だけど、DVDにした時のマスターテープがなくなっちゃったんだよね。あははっ!」
す「……。お前、アホだろ?」
社「うるさいなぁ。そうだ、コレ持ってく?」
す「あ、有り難うございます。サンプルDVDですね」
社「あっ、いや……ジャケットだけなんだけど」
す「は、はぁ? だって、3月3日に発売なんでしょ? なんでサンプルDVDができてないの?」
社「それがさ、プレスが間に合わなくて……。1週間ほど発売が延期になっちゃった。てへっ!」
す「お前、アホだろ?」
社「ご予約をいただいたお客様には、大変ご迷惑をお掛けし、申し訳ありません。もうしばらくお待ちください。……だがな、すあまごときに言われる筋合いはない!!」
す「や、やめてぇ〜! 首を絞めないでぇ〜! 口から『大五郎』と『よっちゃんイカ』が飛び出るぅ〜〜!!」
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