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▼ すあまにあ倶楽部 第88回 さよならだけが人生だ(1)

文=抱枕すあま
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↑いつもいた場所に、抱き枕はいません。私は、もう抱くこともできません。

(※この記事は2009年にWEBスナイパーで掲載されたものを再編集の上で再録したものです)


突然ですが、今回で『すあまにあ倶楽部』は終わります。それだけではありません。抱枕すあまという人間にも、お別れすることになりました。すでに、抱き枕のセーラちゃんも、百合ちゃんも、光ちゃんもいません。抱き枕のいない私は、両手両足をもがれたヘビのような存在になってしまいました。

なぜ、急にコラムを終了することになったかというと、私のことを好きだと言ってくれる人が、私自身以外にいたからです。しかも、それが私の理想どおりの素敵で可愛らしい女性だったのです。でも、その女性が好きになったのは、平凡なサラリーマンの私であって、SMの世界にいる私(抱枕すあま)ではなかったのです。

私は、このコラムを書くにあたり、読んでも意味がなく、なんの役にもたたず、できるだけバカバカしい内容となるよう、常に心がけていました。それは、小難しいことなど考えずに、ただただ読者の方に笑って欲しかったのです。私のコラムを読むときだけは、嫌なことを忘れて、疲れた心を癒やして欲しいと思っていたのです。

『WEBスナイパー』の創刊とともに歩んできた約3年間、ずっとそんなことを考えながら、私はこのコラムを書いてきました。みなさんに笑ってもらえていたら、楽しんでもらえていたら、私はとっても嬉しく思います。

でも、私のことを好きだと言ってくれた人は、このコラムを読んで、笑ってはくれませんでした。悲しい顔をされてしまいました。SMという世界をまったく理解できない人にとって、私のコラムは不快の対象でしかなかったのです。最悪なことに、最初に読んでもらったコラムが、『PAIN GATE ~達磨鎖食~』(SCRUM)の紹介文でした。

そんなSMのことをまったく知らない女性でしたので、当然のごとく、抱き枕のことも理解してくれませんでした。普通の男性の場合、女性から「私と仕事、どっちを選ぶの!?」という究極の選択を迫られることがあります。しかし、私の場合は「私と抱き枕、どっちを選ぶの!?」という究極の選択を迫られたのです。

(続く)


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