私の嗜肛錯誤の日々【6】
二人で別荘に居残り、深雪は私の目論見をうすうす感じていたようだが、それは十九歳の娘にありがちなロマンチックな想像を伴っていたに違いない。まさか私の目的が深雪のアヌスにあるなどと知るはずもない。
男女平等などと言われ始めた昭和二十七年頃のことだが、フリーセックスなどは夢のまた夢といった時代である。
深雪は私と接吻を交わすと、もう許嫁にでもならたつもりで、
「私を捨てないでくださいね」
などと甘い科白を言ったものだ。私がその機会を逃すはずもなく、
「深雪さん、男って、ガマンができないときがあるんです」
と、息を荒げて(もちろん、芝居をうったのだ)抱きつき、畳の上に深雪を押し倒して処女を奪った。
手当り次第女を抱いていた私だったが、これだけの上玉になるとさすがに興奮したものだ。普段ならあれこれと性技を弄するのだが、このときばかりは獣になったようで自分の欲情を制御することができず、いささか粗暴な行為をしてしまったのだ。
それは今までにない異常な興奮であり刺激であった。私の嗜虐癖の目覚めだった。私は仔猫をいたぶるように深雪をジワジワと責めたてた。もちろん憎いからではない。世間のことや性のことなど何も知らない深雷をからかってみたかった――というのが動機といえばいえるかもしれない。
また、深雪も私の粗暴な行為を限りなく受容したのだった。
夜毎の逢引きが続き、軽井沢を引き払わなければならないという前の夜、また、私は研一郎に人払いを頼んだ。深雪を籠絡させたことを知っている研一郎は私に畏敬の念を抱いており、今度はニッ返事の承諾だ。
私に身も心も奪われている深雪は私の言いなりだった。格式の高い家柄の娘が婚前交渉というだいそれたタブーを破っているのである。少々のことがあっても口外をしないというのが私の胸算用である。
私は用意をしておいて細引きで素っ裸の深雪を縛りあげた。
(つづく)
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