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▼ 花嫁奴隷〜渚〜【11】

花嫁奴隷〜渚〜【11】


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「生贄おさな妻〜収集家の奴隷〜」(大洋図書)より
脚本=雪村春童
著者=芽撫純一郎

花嫁奴隷〜渚〜【11】

宮内渚は、竜二・竜也邸と同じ町内にあるアパートで暮らす20歳の専門学校生である。
1週間のうち月水金曜は自宅近所の居酒屋でアルバイトをしている。
被害に遭った日は午前0時までアルバイト先で過ごし、その後、フィアンセの部屋に立ち寄ったために家路につくのが普段よりも遅くなった。

もし、アルバイト先からまっすぐに帰宅していれば、その頃にはまだちらほらといた通行人が犯行を食い止めていた可能性もある。
だが結納を三日後に控えて浮かれていた渚には、深夜に帰宅する危険性など意識の埒外にあったようだ。

そして午前3時50分、本人にその瞬間の記憶はないが、自宅近くの路上にて、歯科医などが麻酔で使用する笑気ガスを嗅がされて気絶、略取誘拐の被害に遭った。

帰宅の途中で記憶が途切れ、目覚めた場所がベッドの上であったことから、本人は当初、そこが病院に類する何らかの施設ではないかと思ったという。
しかし、部屋の片面が鉄格子で塞がれており、打ちっぱなしのコンクリート壁に吊るされているのは鞭や縄といった、およそ医療とは縁のない品々である。

「どういうことなの……これ……」

パニックに陥りかけて叫び声を上げそうになった瞬間、渚は自分の衣服が乱れていることに気がついたという。


(つづく)


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