花嫁奴隷〜渚〜【13】
壁際に、椅子を改造して作ったと思われる拘束装置が置かれていた。
その背もたれに、長い髪の毛の束がべったりと付着していた。
どのようにして抜け落ちたのかは分からない。
それよりも問題なのは、自分より以前にもこの場所に閉じ込められた者がいるという事実だった。
閉じ込められていたのは女性だったに違いないと渚は思った。
では、その女性は今、どこでどうしているのか。
脱出したのであれば警察に駆け込むはずである。
そんなニュースを見たことがあっただろうか。
いや、自分がここにこうしている以上、犯人はまだ捕まっていないということになる。
ならば閉じ込められていた女性はどうなったのか。
同じ想念がグルグルと頭の中を駆け回り、渚の尻がストンと床に落ちた。
たちまち、床に薄黄色の池ができていく。
その温かい液体に、力なくうなだれた渚の黒髪が触れた瞬間である。
いきなり、薄闇の地下室に甲高い声が響き渡った。
「あぁーっ、オシッコしてるの? ちょっと待って、今、瓶持ってくるから!」
盆に湯気の立つ器を載せた竜二が鉄格子の向こうで叫んでいた。
(つづく)
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