花嫁奴隷〜渚〜【15】
竜也が自分の秘めた切実な欲望に気がついたのは、小学生の頃、竜二に命じられてある少女の下着を盗んだ時からである。
プールの更衣室に忍び込んで白い綿のパンティを握りしめた瞬間、竜也は激しく射精した。
そしてその少女に「惚れた」。
別の少女のタンポンを盗んだ時も、女教師の排泄姿を盗撮した時も、竜也はその瞬間、脳が痺れるような快感を覚え、相手を「愛して」いた。
その感覚が痴漢のものであることに気がついたのは、中学校に上がってからのことだった。
雑誌でたまたま見た痴漢シーンの写真を見て、背筋に電流が走ったような衝撃を覚えた。
そして同時に、自分は痴漢なのだという確信を得た時、竜也はむしろ、自分の存在意義を感じて喜んだ。
自分は兄の言いなりになるばかりの操り人形ではない、好きなことを、自分の意志でしているのだ、そう思えるようになったことで、竜也は初めて自分なりの「生」を感じることができたのである。
渚と出逢ったのは偶然だった。
竜也が27歳の頃、当時10歳だった渚が道端にしゃがみ込み、ほどけた靴紐を直していた。
その時に渚のスカートの中を見たことが「惚れる」きっかけになった。
椿の白いパンティが、小学生時代に初めて女子更衣室から盗み出した「初恋」のパンティを竜也に思い出させた。
以来ずっと、竜也は意識と目の端に渚を捉えて生きてきた。
そしてその間にも竜二の命令に従って働いては、竜二の目を盗みながら自身の欲望も満たしてきた。
つまるところは、やはり竜也は、竜二の木偶でしかないに違いない。
竜也自身もそう思うことがあった。
しかし、一人だけ、渚だけは自分の獲物だ……そんな感慨があったのも事実だった。
(つづく)
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