花嫁奴隷〜渚〜【18】
最初はいざという時の武器にするつもりだったという。
しかしふと、しゃがんだ男の姿からカエルを連想した瞬間、今なら殺して逃げられるのではないかと思ったという。
男に目を向けたまま、まず、視界の隅で牢の扉が開けっぱなしになっていることを確認する。
次に両手でしっかりと箸を握りしめた。
そのまま息を殺して歩を進め、男の背後に立つ。
腋の下から汗がタラタラと流れ落ち、ワンピースの下で腰まで垂れた。
しかし構わずに箸を振りかぶり、体重を載せ、男のうなじにその先端を打ち込もうとした。
狙いを定めて、軽く脚を曲げ、腰を落とした時だった。
「渚ちゃん、お股からオシッコの匂いがプンプンしてるよ」
ふいに男が振り返った。
そして同時に、「めっ」と子どもを叱るような口調で短く言い、固く握った拳を渚の顔面にまっすぐ叩き込んだ。
渚の耳の奥でメチッという音が鋭く響き、全身の力が消失した。
箸を落とし、両脚をあられもなく広げたまま後方に傾き、尻もちをついた後、斜めに倒れ込む。
意識の在り処を探って首を捻ると、自然と仰向けに寝たカエルの格好になった。
天井が文字通り回転していた。
開いた脚の付け根が、再び生ぬるい液体で浸されていくのを感じた。
(つづく)
上へ |
カテゴリ一覧へ TOPへ |
■広告出稿お問い合わせ ■広告に関するお問合せ ■ご意見・ご要望 ■プライバシーポリシー ■大洋グループ公式携帯サイト |