花嫁奴隷〜渚〜【19】
「あ、出た出たぁ、よし、いい子だ、そのまま出しちゃって」
弾むような声が視界の外から聞こえ、パンティに何か固いものが押し当てられるのが分かった。
たぶん、あの瓶だろう、と思った。
男が瓶に小便を採取しているのだ。
――狂っている。
口の中が血の味で溢れていた。
前歯の一本がぐらついているような気がする。
舌で押すと、抜けたか折れたかして、唇の端からポロリと落ちた。
自分が数日後に結納を控えた身であることが思い出され、見開いたままの瞳から大粒の涙が溢れ出た。
今、自分が感じているのは恐怖だろうか、絶望だろうか。
半ば捨て鉢な気持ちで思い、男の存在すら忘れかけた時、いつの間に移動していたのだろう、突然、耳元で息を感じた。
濡れたこめかみがベロリと舐め上げられる。
さらに、眼尻に冷たい唇をぴったりとつけられ、溢れる涙をチューチューと音を立てて吸われた。
悪寒が背骨を走り、脳にぶち当たった。
「いいぃぃぃぃぃぃーっ」
恐怖でも絶望でもなく、すべてに優先して男への嫌悪感が全身を支配し、渚に絶叫を迸らせた。
しかし男は、その間も無心に涙を吸い続けているのだった。
(つづく)
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