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▼ 花嫁奴隷〜渚〜【19】

花嫁奴隷〜渚〜【19】


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「生贄おさな妻〜収集家の奴隷〜」(大洋図書)より
脚本=雪村春童
著者=芽撫純一郎

花嫁奴隷〜渚〜【19】

「あ、出た出たぁ、よし、いい子だ、そのまま出しちゃって」

弾むような声が視界の外から聞こえ、パンティに何か固いものが押し当てられるのが分かった。

たぶん、あの瓶だろう、と思った。
男が瓶に小便を採取しているのだ。

――狂っている。

口の中が血の味で溢れていた。
前歯の一本がぐらついているような気がする。
舌で押すと、抜けたか折れたかして、唇の端からポロリと落ちた。

自分が数日後に結納を控えた身であることが思い出され、見開いたままの瞳から大粒の涙が溢れ出た。

今、自分が感じているのは恐怖だろうか、絶望だろうか。
半ば捨て鉢な気持ちで思い、男の存在すら忘れかけた時、いつの間に移動していたのだろう、突然、耳元で息を感じた。

濡れたこめかみがベロリと舐め上げられる。
さらに、眼尻に冷たい唇をぴったりとつけられ、溢れる涙をチューチューと音を立てて吸われた。

悪寒が背骨を走り、脳にぶち当たった。

「いいぃぃぃぃぃぃーっ」

恐怖でも絶望でもなく、すべてに優先して男への嫌悪感が全身を支配し、渚に絶叫を迸らせた。
しかし男は、その間も無心に涙を吸い続けているのだった。


(つづく)


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