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▼ 花嫁奴隷〜渚〜【20】

花嫁奴隷〜渚〜【20】


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「生贄おさな妻〜収集家の奴隷〜」(大洋図書)より
脚本=雪村春童
著者=芽撫純一郎

花嫁奴隷〜渚〜【20】

どれくらいの時間が経ったのか分からない。
どれだけ叫び続けたのかも分からない。
しかし、永遠のように感じられた時間も、わずか5分程度に過ぎなかったのかも知れない。

「よく泣いたねえ。もしかしたら鼻水も、出てるんじゃないのかい?」

男が言い、渚の鼻の穴を無遠慮に覗き込んだ。
さらに、鼻に指を添えて鼻翼を裏返し、「お、あるじゃないか」と舌先を窄めて鼻孔に差し込んでくる。

「意外に少ないかな……」

首を傾げ、今度は唇を窄めて吸いたててくる。

悪夢から悪夢へ移行したようなものだった。
渚の全細胞が戦慄する。

とにかく、男の吐いた息を吸いたくないと思った。
口を固く結び、息を止める。
そして少しずつ回復し始めた神経を総動員し、必死で身体をよじらせた。
しかし、脚を動かすと、太腿が男のズボンの中の隆起に触れ、卒倒しそうになった。

「や……めて……」

意識が振り切れそうになる。
また叫び出しそうになる衝動を抑えながらかろうじて言った。
前歯で舌を噛んで見せる。
自殺をアピールしたつもりだった。

男が、キョトンとした顔で渚を見つめて言った。

「あ、そう」

男の言葉の意味が分からず、さらに顎に力を込めた。
舌に血が滲み、折れかけている歯が痛んだが、ここが正念場だと思った。
もうこれ以上の精神的苦痛には耐えられる自信がなかった。

「いいって、もう。鼻水出てきたらちゃんと言ってくれればいいから」

男があっさり身体を離し、気遣いのつもりででもあるのだろうか、そう言ってぎこちない笑顔を見せた。
さらに、「血は生理の血以外は採らないから、拭いちゃってもいいよ。私も鬼じゃないんだからね」と、殴ったことを忘れているかのように付け加える。


(つづく)


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