花嫁奴隷〜渚〜【21】
今は何か言わなければ、と渚が瞳を泳がせる。
しかし言葉がまとまらなかった。
言うべきことがありすぎる上、その優先順位がすべて同じであるように感じられた。
「あの……何を……」
混乱しそうになる頭をどうにかなだめ、言葉を絞り出す。
「家に……家に帰して下さい……あなた誰なんですか? ここ、どこ? どうするつもりなんですか? ねえ、何なの! 何なのよ! お願いもう……」
感情が溢れだしそうになり、涙をこらえて言いながら後ずさる。
ベッドに背中がぶつかり、そこで言葉が出なくなった。
「えーっとね」
男がわざとらしく咳払いして立ち上がり、自分の口元を丁寧にぬぐい終えてから一礼する。
そして言った。
「まず、私は誰かということなんですが、私は君の夫になる男で、竜二と言います。ここはどこかと言うと、ここは私の家で、ここがこれからの君の家になるわけだから、元の家には帰れません。で、どうするつもりかということだけど、君には私の理想に従って、花嫁修業をしてもらいます。まあ、調教と呼んでいるんだけども、それをやります。お互いの幸せのためです。君も、当然幸せになりたいだろうと思うし、そのためには必要なことなわけだから、我慢して下さい」
「何を……言ってるの?」
「そこは説明するより、調教するから。そうしたら自動的に分かると思うし」
ただ唖然とする渚を見下ろしながら、胸を張って平然と続ける。
(つづく)
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