花嫁奴隷〜渚〜【24】
兄さんを殺そう――。
竜也は唐突に、そう思ったことが何度もあるような気がした。
殺さなければならないと。
ただし、そこに明確な意思や理論的整合性はない。
兄を殺してどうしたいのか、具体的にはどう殺すのか、なぜ兄を殺さなければならないと思うのか、竜也にはそのいずれも形ある意識として把握することすらできなかった。
しかし、カメラを設置した以上は、そこに何らかの理由があってしかるべきである。
自分は単に覗き見をしたかっただけなのか、それとも兄を監視し、渚を助けるためなのか、あるいは――。
竜也の知る限り、竜二は一度も性交というものをしたことがなかった。
過去に攫ってきたどの女にも、直接的に射精をうながすような行為を求めたことがない。
その代わりに女の体液を採取した。
そして瓶に溜めた自分の体液を相手に飲ませた。
地下に置いてある卑猥な玩具は、女の体液の分泌を促すためのものであり、拘束具や鞭は、抵抗を封じて自分の要求に従わせるためのものである。
他のあらゆる責め具の存在も行為も、そのバリエーションとしてあるにすぎない。
それが竜二にとっての性交なのか何なのか、竜也には分からない。
ただ、女たちが抵抗する気持ちはよく分かった。
相手のそうした感情が分かるからこそ竜也は自分を「痴漢」だと思えるのである。
(つづく)
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