花嫁奴隷〜渚〜【34】
拒否はできなかった。
抵抗して痛い目に遭うよりも、ぼんやりとした意識のままですべてをやり過ごしたほうがマシだ――そう思え、今度は意識的に殻に閉じこもった。
こうして渚は手首を括り合わされ、滑車で吊り上げられることになったのである。
ギチ……ギチ……
爪先が、床に着くか着かないかの高さに固定された。
無防備で抵抗のできない状態になってみると、改めて不安がこみ上げてくる。
しかし同時に、こうなってしまってはもう自分の力ではどうしようもないという、ある種の諦観の念もないではなかった。
それは現実逃避という名の健気な適応であったのかも知れない。
「あれぇ? 渚ちゃん、乳首が勃ってるよ?」
思いがけないことを言われ、「さ、寒さのせいです……」と答えたものの、竜二に乳首まで数ミリのところまで目を近づけられると、嫌悪感よりも前に戸惑いと、弱みを見せまいとする焦りが湧いてきた。
そうかなぁ――と、竜二が乳首を舐め上げてくる。
「つぁっ」
背筋が反り返り、声が漏れた。
絶対に快感のせいなんかじゃない――そう信じたかった。
しかし思うほどに、嫌悪感の裏側にぴったりと張り付いた焦燥感もますますつのった。
竜二がさらに、両手で乳房を絞るように掴み、左右の乳首を交互にチュパチュパと吸い立ててくる。
「いやっ、やめて!」
思わず声を張り上げ、必死に身体を引き離そうとする。
しかし爪先は床を掻くことしかできなかった。
(つづく)
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