〜堕落妻・律子〜【12】
それでは――と縄師のNがもう一度頭を下げて縄を手にした。律子は布団の上に正座して両腕を後ろに組んでいる。顔は白いままだが、そのぬめるような透明感には今や凄みすら滲んでいる。Nが改めて律子の腕をぐいと持ち上げ、背と手頸との間にするすると縄を通して二度回し、小さく力を込める。律子の頬がぱぁっと明るく染まって、細い首筋から肩にかけてのラインが十代の少女のような可憐さを匂わせた。
「ぐぅっ……」
睨むように見つめていた花岡が咽喉の奥で小さく唸る。空気がピンと張りつめている。
事務員風の男が生唾を飲んで咳払いをした。
Nの捌く縄が渇いた音を立てて律子の胸に回される。そして襦袢越しに両の上腕と乳房の上端に浅く食い込んだ後、じんわりと浸み込むようにさらに締まった。
律子の目は虚ろ、唇は半開きとなり、上半身がゆっくりと前後に揺れている。
Nは律子の背中から縄をとると、それを頭上の梁に回し、律子が縄に身を委ねられる状態を作った。
「こうされたいんだね?」
囁いてポンと背中を押す。すると律子はゆっくりと前のめりになって薄く目を閉じ、縄に体重を預けていく。
「はあぁぁっ……」
「もっと動いていいんだよ」
律子の肩に手を載せて、呼吸を合わせるようにしながら襦袢の前を開いた。
電球の灯りの下、縄に絞り出された豊かな乳房がまったりと垂れて弾んだ。律子が顎を反らせて胸を突き出す。
やや大きめの乳首が痛々しいほどに勃起していた。その小豆色の肉柱をNが後ろから摘み、捩じる。
「あっ、あぁぁっ」
さらに、掌を使って乳房全体を揉み込み、爪を立て、もう一度肉柱を摘んで捻り上げる。
「くふうぅっ」
「これは罰だよ。旦那を裏切っていけないことをした罰だ」
律子はただ唇を噛んで黙っている。
「何か言うことはないのかね?」
「も……申し訳ございま……せん……」
眉根を寄せて口を半開きにした律子が虚空に向かって言葉を絞り出す。
「もう一度確認しよう」
Nが心持ち声を張る。
(つづく)
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