〜堕落妻・律子〜【18】
事務員風の男が青ざめていた。律子が一人語りを始めてからこっち、顔色は悪くなるばかりである。理由はもちろん、律子やNの語る学生が、すなわち自分のことだったからである。
初めに律子を見ただけでは分からなかった。二十年という歳月は女の容姿をすっかり変えていた。いや、置き屋にいるという噂は以前から聞いていたのだ。しかし認めたくはなかった。自分がかつて関わりを持った女の不幸を直視することができなかった。男は律子との記憶を頭から排除しようとして、できないままに人生を過ごしてきたのであった。
ところが今、まぎれもない本人が女郎として目の前にいるばかりか、むごたらしい仕方で過去を再現している。猪口を持つ男の指先は小さく震えていた。
「そうです、学生は毎日こうして屈辱的な格好でこの女を貫きました。しかし彼もまた学校で恩師に肛門を犯され続けていたのです」
Nがそう言って花岡を煽る。
布団の上では律子が四つん這いの格好で尻を突き出すように言われ、枕に頬をのせて喘いでいた。高く上がった尻も、そこから滑らかなカーブを描いて背中へと下りていく背のラインも、二十年前よりはるかに艶を帯びて芳しい色香を湛えていた。
「どうしようもねぇ三角関係だな。こりゃぁ、行きつくところは破滅だね……」
花岡が熱い息を吐きながら満を持して膨れきった肉ヘチマを律子の秘裂にねじ込んでいく。
「むんっ……あっくぅぅぅっ」
律子が腹から絞り出すような吠え声を上げて、後手に縛られたままの手を固く握りしめた。顔を真っ赤に火照らせ、たちまち上り詰めた様子で甘美な嗚咽へとつなげていく。
(つづく)
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