母娘陵辱残酷絵巻・花嫁崩壊〜【2】
「私は明日のために断食するね。だって、お腹がぽっこりしてたら『できちゃった婚』と勘違いされそうだもん。もう一回ドレス見てくるから、味の感想は後で教えてね」
茜はそう言うと、新婚生活のために買ったエプロンを脱いでカウンターの上に置き、キッチンを出て行った。
奥の部屋へと向かうフワフワとした足取りは幸せそのものだ。
二人が暮らすマンションの2DKは、駅からは遠いが、1フロアに一世帯の間取りで、プライバシーを守るのには適していた。
治安上、女だけの所帯だとはなるべく知られたくない。
詮索好きな隣人に家庭の事情を根掘り葉掘り聞かれたりするのも椿は嫌だった。
そんなわずらわしさがない分、いざという時の不安はあったが、週に一度は茜のフィアンセに泊まってもらうようにしていた。
今日も夜には挨拶を兼ねて顔を出してくれるはずだ。
――もしかすると、茜も私に挨拶を?
あり得そうなその光景を思い浮かべると、また目頭が熱くなってくる。
「ダメダメ、私が湿っぽくしちゃ!」
椿は茜が部屋に入ったのを確認して自分の頭を軽く小突いた。
この時、椿はまだ自分たちを待ち受けるトラブルを想像すらしていなかった。
真っ黒い、闇のような悪夢の導入部は、すでに自分自身の手で彩ってしまっていたというのに……。
(つづく)
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