母娘陵辱残酷絵巻・花嫁崩壊〜【6】
茜の血の気が失せていた。
このまま事態が進行していったら母はどうなってしまうだろう。
全身の震えはまだ止まらない。
しかし恐怖を上回る防衛本能が、わずかな理性を呼び戻した。
――警察に連絡を!
そのことだけを思い、固く縮こまった首をぎくしゃくと回す。
茜はまず、ベッドの上に携帯電話があることを確認した。そのまま萎えそうな足を引き摺るように後ずさりし、ゆっくりと携帯電話に手を伸ばす。
しかし、手が震えて容易に掴むことが出来ない。
両手を使い、掬い上げるようにして掌にのせ、キーを押そうとした時だった。
「おい、あっちの部屋も確認しとけよ」
ふいに鋭い声が聞こえ、茜の心臓が冷水を浴びせられたように縮こまった。
間を置かず何者かの気配がドアに迫ってくる。
たぶん、あの茶髪の若い男だろう。
使われることのなかった携帯電話がベッドの上に柔らかく落ちた。
直後にドアの開く音がする。
永遠のような数秒。
「……誰もいないか」
小さな呟きと共に男の気配が去った。
クローゼットの中、茜の頬を涙が伝い、頭の上のティアラが小刻みに揺れていた。
リビングからは、椿の呻き声と、間断なく下半身を打ちつける残酷な音が響いてくる。時には肉を平手で叩く音までが聞こえ、そこで繰り広げられている狂態の異常さを物語っていた。
「怖い……」
茜の脚を黄色い液体が太くうねくり、クローゼットの床に流れ落ちる。
異臭を放つその液体はたちまち池となり、足もとでくしゃくしゃになったウェディングドレスに無情な染みを作った。
部屋のドアは開け放されたまま放置され、茜はクローゼットから出ることもできなくなった。
(つづく)
上へ |
カテゴリ一覧へ TOPへ |
■広告出稿お問い合わせ ■広告に関するお問合せ ■ご意見・ご要望 ■プライバシーポリシー ■大洋グループ公式携帯サイト |