告白=小泉博敏(仮名)
【11】見られた裸
あの母親、恭子の緊縛された胸を見てどう解釈しただろうか? SMプレイと理解したか、婦女暴行と理解したかである。その時の母親の顔色が蒼白になっていたら後者、赤く染っていたら前者であろうが、ボクは、そこまで見極める余裕はなかった。
もし、後者だとすれば、110番されて警察の追跡を受けるかも知れない。そう思うと気もそぞろである。
食事をし、飲んで、踊って……と、目論んでいたが、予期しない出来事が引き続いたので、多少鼻白んだボクは予定を変更せざるを得なかった。途中、“恭子をタクシーの中に待たせて、公衆電話から、行きつけの会員制クラブのマスターに電話した。数点の打合せをしてから、その店へ急いだ。
暗いけれども落ちついた雰囲気の店へ入ると、すぐに仮面をつけ、ビジタールームを通り抜けて、奥まった特別室の前に立った。入口で会員カードを差し込むとドアが開いた。
中には、4、5人の男と3人の女が居た。いずれも仮面をつけているので、人相の程はわからない。
一人の男が寄ってきた。
「いらっしゃいませ。お嬢さま、コートをお取り致します」
丁重に言った男の手がコートにかかる。
「先生」
恭子は振り返ったが、そこに、ボクは居なかった。ボクは他の会員達の中に入りこんでしまっていた。
恭子の顔色が変わり、目が必死にボクを探している。男の手に力が入る。
「あ、だめなんです。とらないで下さい」
恭子はさっきのホテルでの羞恥は二度と味わいたくなかったと見えてとっさに逃げようとしたのだが、逃げればコートが外れてしまう。
男は、容赦なく、一気にコートを剥ぎとってしまった。
「きゃあっ」
恭子はその場へしゃがみ込んでしまい、胸を伏せて顔を俯けた。
「お嬢さま。なかなかお見事なお体と、すばらしいお召ものですね」
男はロープの食い込んでいる上半身や、アヌスバンドでくびられている下半身に、もぞもぞと手を這わせる。
「さ、お嬢さま。立ってよく見せて下さい」
うずくまった恭子に、スポットライトが当てられた。まわりが暗いので、恭子の俯いた姿が白くあざやかに浮き出されている。
大勢の目で見られ、しかも、スポットライトまで当てられて、どうして恭子は起ち上ることができよう。
「お立ちになれませんか? お嬢さま」
男は、いんぎんに話しかける。
「どうしても、お立ちになれませんでしたら、こうしましょうか」
言葉は丁寧だが、やることは手厳しい。うずくまっている恭子の肩に跨がると、そのまま体重をかけていく。そうでなくても、しゃがむことによってアヌスバンドが引き吊れているのに、さらに腰をきつく折られたから堪らない。
菊の花はえぐられ、バラの花はこけしをすっぽりと埋めて、4四本の紐が肉襞を千切るかのように食い込んでくる。恭子は思わず悲鳴をあげた。
「そうら、ね。たまらない痛さでしょう。さ、立ちましょうね」
男に肩を支えられ、恭子はよろよろと立ち上がった。食い込んでくる痛さには堪えられなかったのだ。
(続く)
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