告白=小泉博敏(仮名)
【12】肉の器
「さあ、みなさん。テーブルの上を片づけてください」
グラスが触れ合う音を聞きながら男に抱き上げられた恭子は、何をされるかを想像して必死に足をばたつかせ、腰を躍らせて、男の手から逃がれようともがいた。
「これは、また、よく暴れるお嬢さんだ。みなさん、手を貸して下さい」
男は、顔をしかめながら“手に負えない"という素振りで、会員に声をかけた。
全員が立ち上がって恭子を押えつけた。その中にはボクも、3人の女性も混じっていた。
恭子をテーブルの上へ乗せると、みんな慣れた手つきで、彼女をテーブルに縛りつけてしまった。大人が一人、大の字になって寝られるだけのスペースをもつ大きな円卓である。要所要所にロープを掛けるフックがあり、どんな形にでも人体を結えつけられるようになっている。 恭子は、両足を拡げられて、円卓に磔にされた。
後ろ手のまま腰の下に置かれた手首が痛いらしく、手首の痛みを和らげようと腰を浮かすと、今度は、アヌスバンドが食い込んでくる。
「さあ、みなさん。お待ちどうさまでした。長い時間をかけて練り上げました、恭子お嬢さまのお股の2カ所を、ようくご覧になって下さいませ」
芝居がかった男の声が終わると同時に、円卓は静かに動き出した。モーターで回転する仕掛けになっているのだ。スポットライトもそれに合わせて移動する。
「いやっ。見ないでっ」
恭子の激しい拒否も聞えぬ気に、1人1人が覗き込んでは、彼女の秘所について大声で話し合っている。三人の女も口々に卑猥な会話をしている。同性に秘部をあからさまに観察されることは、恭子にとってことの他つらいものであるに違いなかった。
恭子はもう、じっと、体を堅くして、見られている恥ずかしさと、秘部を品定めされている屈辱に堪えているだけである。
円卓が一回りすると、さつきからの司会役の男が、みんなに告げた。
「さあ、これからは恭子お嬢さまに触ってもいいですよ。どこでもご自由にお黙りください」
ざらっとした掌が内腿を撫で上げてくる。
脂ぎった手が剃毛のあとをさする。
やわらかい指が乳首をつまむ。絵筆のようなものがアヌスの回りを刷く。
「いやっ。触わらないで。先生、お願い、やめさせて」
やめさせて……と頼まれたボクも、みんなと一緒になって、脂汗の浮いた恭子の体をいじりまわしていた。
「やあ、よく剃ってあるね。ここまでするには、肉襞をつまみ上げてやらないと剃れないよね。相当、手慣れているとみえて、みごとな剃りだ」
「前のほうは綺麗にしてあるけど、後ろのほうは駄目ね。ほら、アヌスの周りにはこんなに生えているわよ」
「おっ。前も後ろも、よく練れているねえ。ほら、こんなに軟らかくなっている」
誰かが、ぬるっと手を触れた。
「あっ、そこ、だめっ。あ、いや」
暫くそんなことを続けている内に、恭子の激しい拒否はだんだん緩やかになり、やがて艶めかしい声色になってきた。一旦停まっていた愛液の湧出がまた始まった。
「皆さん。これから食事をします。今晩のお皿は大分汗をかいたままですから、塩気は充分だと思いますし、ジュースもたっぷり流れ出しておりますので、存分に召し上がってください」
司会の男の合図で、恭子の裸の肉体の上に食べ物が配列された。冷たいもの、熱いものが置かれる度に、恭子の裸がひくついた。
(続く)
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