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▼ 1980年8月号 「穿たれたアヌス」【10】

1980年8月号 「穿たれたアヌス」【10】


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投稿=宇田島博子(20歳)
絵=石神よしはる

1980年8月号 「穿たれたアヌス」【10】

お姉さまは、私のアヌスをじっと見つめ、コネコネといじくるのです!

●侵蝕

「あれっ……」

いやらしい先端が、私のアヌスに喰いこんできたとき私は叫びました。

「博子……こっちのバージンも、いただきたいのよ……」

お姉さまはそういい、私の口をふさぐようにキスし、手の力をつよめました。

「あっ……」

私の体内におぞましい器具は侵入してきたのです。それはいままでの感じとはまったく異質の、熱い砂をこじ入れたような感触、しいていうなら異次元の感覚といっていいものでした。

「博子……愛してる……」

私がはげしく拒否するので、お姉さまはいっそうつよく私をはがい締めにし、そのグリグリした先端をついに埋没してしまったのでした。

私はもう呼吸ができません。体じゅうの水分が蒸発し、血がなくなった感じでした。怖ろしい侵蝕はアヌスから直腸をとおり、背筋をつらぬき、脳天まで駈け抜けました。

その瞬間、私という人間は解体し、別の淫らな生物に変貌してしまったのです。ずっと昔、文学少女の私はフランツ・カフカという小説家の『変身』という小説を、翻訳で読んだことがあります。

その主人公はある日、突然、巨大なイモムシに変身してしまうのです。実直なサラリーマンだった主人公は、イモムシになって、もう会社員としてのスーツを着ることもできぬのでした。そのとき私はあまりの怖ろしさに、ぞっと戦慄したものです。

恥ずかしいアヌスに電動こけしの先端を、ふかぶかと埋めこまれた私は、そのとき人間でなくなったと思いました。アヌスと直腸だけの、巨大な円筒状の環形動物……そんな姿に私は変身していたのです。

「あ、あっ……」

私はえもいえぬ鈍重な、それだけに異形な快感に鳴咽しました。私は白い大ミミズのように、アヌスを中心に全身を淫らにうねらしていたのでした。

「博子……博子……」

いつのまにかお姉さまは私をうつ伏せにして、そのうえに反対むきにまたがっていたのでした。壁に嵌められた大鏡で、私はそのすざまじい姿を見つめていました。

お姉さまは両手でしっかと、私のアヌスにつながるものを握っていたのです。そしてあたかも男女のセックスの姿態のように、胸をのけぞらせ、自分の体も前後に揺すって私を責めていたのです。

それは悪魔の光景であり、地獄のシーンでした。私は悪夢の中の出来事のように、鏡の中を見つめていましたが、そのうちに視界がぼーっとうすれ、混濁していきました。やがて私の視界は黄濁色で埋まり、私は意識さえ失っていったのです。


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