満月の夜の吊り責め【2】
前編 贅沢な思い-2
今夜は満月の一日前です。まんまるい銀色の月が、やや東の空に傾いてかかり、木々の切れ 目の空の見える径のところに来ますと懐中電灯がなくてても充分明かるく、危険もなく歩けるような様子なのでした。
後手に縛られた玲子は、それでもときどき木の根や石ころに躓きながらも、私の前を一生懸命に歩いてゆきました。足を運ぶたびに足枷の金具の音がして、刑場に向かう罪人と刑吏のような雰囲気でした。
吊り責めのための枝をたしかめたり、いろいろな用意をする間も、玲子は岩の上に正座させ、足首もつないで逃げられないようにしておきました。太い木の横枝に捨て縄をかけて用意してきた滑車などの準備をしている間も、
「寒いワ……寒いから何か着せて下さらない」
そう言ってうるさいので、黒色のビニール布を猿轡のかわりに噛ませました。さらに後手の縄元を近くの岩角に固定してやりましたので、玲子は身動きできない姿になりました。
(続く)
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