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▼ 読者体験告白「一度だけのアバンチュール」【3】

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投稿者=良田博美(仮名)


夫に言えない性癖――。鬱積した欲求不満は、ある日、人妻を危険な行動に駆り立てる。初対面の男に熟れた肉体を差し出し、マゾの悦びに溺れていく淫婦の長い1日は、彼女に何をもたらしたのか。『S&Mスナイパー』1982年7月号に掲載された読者告白手記を、再編集の上で全9回に分けてお届けしています。


【3】積もり積もった欲求不満

いつも優等生であり続けようとした私は、自分のなかに巣くう悪魔的なマゾの部分を見せないようにして、夫との夜の生活でも、本当には興奮か得られていなくとも、興奮したように演技してみせていた。

そんなふうに、夜の生活でもピエロとなるしかない私。なぜ、私だけがいつも耐え続けていなければならないのだろう。

もういやだ。これ以上耐えてゆくのなんかいやだ。胸の内で気狂いのようにわめきちらしているもう一人の私がいた。

裸の私になりたい。一度だけ、たった一度だけでも。世間のしがらみをふりほどいて、すべてを忘れて女の悦びを、ありったけの悦びを貪ってみたい。貪欲に、髪をふり乱して。

もう若くはない。美しくもない。すっかり所帯じみてしまった私。だが一度だけ、神様だって私に味方してくれないだろうか。

「男がなくては淋しくてならない女なのか」とか、「それほどまでに耐えることもできない女なのか」と、ののしるがいい。世間の者には言わせておけばいい。たとえ皮膚がたるんでいても、私は私の思うようにする。

私は毎日、鏡を見ながら自分とそんな話をしていたのだった。そして――。

ある日、私は動いた。

(続く)


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