投稿者=良田博美(仮名)
【3】積もり積もった欲求不満
いつも優等生であり続けようとした私は、自分のなかに巣くう悪魔的なマゾの部分を見せないようにして、夫との夜の生活でも、本当には興奮か得られていなくとも、興奮したように演技してみせていた。
そんなふうに、夜の生活でもピエロとなるしかない私。なぜ、私だけがいつも耐え続けていなければならないのだろう。
もういやだ。これ以上耐えてゆくのなんかいやだ。胸の内で気狂いのようにわめきちらしているもう一人の私がいた。
裸の私になりたい。一度だけ、たった一度だけでも。世間のしがらみをふりほどいて、すべてを忘れて女の悦びを、ありったけの悦びを貪ってみたい。貪欲に、髪をふり乱して。
もう若くはない。美しくもない。すっかり所帯じみてしまった私。だが一度だけ、神様だって私に味方してくれないだろうか。
「男がなくては淋しくてならない女なのか」とか、「それほどまでに耐えることもできない女なのか」と、ののしるがいい。世間の者には言わせておけばいい。たとえ皮膚がたるんでいても、私は私の思うようにする。
私は毎日、鏡を見ながら自分とそんな話をしていたのだった。そして――。
ある日、私は動いた。
(続く)
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