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▼ 読者投稿小説「下町銭湯で結ばれた痔持ちの愛」【3】
投稿者=匿名希望
銭湯の番台に座っていた主(あるじ)はふと、一人の女性客が痔持ちであること気づく。自分も痔持ちであることから哀れに思って彼女を観察するようになった彼は、次第にその女性に惹かれていく。痔持ち同士が運命に導かれるように出会い、たどり着いた場所とは……。『S&Mスナイパー』1979年10月号に掲載された読者投稿小説を、再編集の上で全7回に分けてお届けしています。
【3】二人きりになった痔持ち同士
次の日の午前中、昼近い時間に私は文子さんの家を訪ねました。玄関のベルを鳴らすと中から「鍵は開いてますから、どうぞ入ってらして」と文子さんの声が聞こえました。靴脱ぎのところまで行くと、廊下の中ほどにあるドアが内側から開いて、髪の毛を濡らした文子さんが顔だけ出してこう言いました。
「今、お風呂に入ってますの。角田さんも服、お脱ぎになったら?」
「えっ?」
「だって、服をよごすと奥様にしかられますもの。それに、角田さんの分の薬も用意してありますから」
いったい、文子さんという人はどういう人なのだろうと疑念が首をもたげましたが、裸そものものは普段から見慣れている私です。そういう私だからこそこうして頼んできたのだろうと解釈し、ええいままよとばかり、脱衣所へ行って自分の服を脱ぎました。
他人の裸は慣れていても、普段、自分が人前で脱ぐことはないので気恥ずかしさを覚えましたが、私も痔です。新しい薬とはどんな薬なんだろうという興味もありました。
(続く)
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