告白=逸木登志夫(仮名)
【4】実行の日
八月に入って丁度具合いよく、奥さんが子供達をつれて第二日曜頃に大津の実家に泊まりがけで行くということを聞いた。琵琶湖で遊ぶのだということである。私はその日の来るのが待ち遠しくて仕方なく、京都特有のむし暑さも忘れて、生け贄を弄ぶ描の目つきで恵美子のむっちりした肢体を盗み見ては静かに時を待っていた。
二、八の月は世間一般でも閑になるように、普段電話の多いこの店も日曜となれば御多聞に洩れずガランとしている。当番になった人は一日中ほとんど何もせず、ダラダラと五時までいるだけである。
主人は何分にも立居が不自由なため階下には下りてこないし、それでも何かの時に家人が不在では困ると思ってか、主人の姉という老婦人が来て泊まりこんだものの、結構なことにその人も三階に上ったきりであった。
その日、少し早目に来て、辺りをぶらぶらした私は、九時半頃を見計らって店内に入っていった。私を見てびっくりしたような顔の彼女に、私は「あんた初めてなんやろ。なんぼ閑でも、心配や思て来てみたんやで」と言い、見せかけ程度に少しだけする心算で伝票の整理などを始めたのである。
もう、その頃は私に何かと相談ごとをしたりするようになっていたので、彼女は私と二人きりになったのが嬉しいらしく、「今日は、なんにもすることてあらへんし、手伝うたげるわ」とこまごまと手助けをしてくれるのであった。
私が彼女を倉庫につれこんだのは、だるく眠くなる二時過ぎの頃であった。「ちょっと二階の刺繍の布切るし、来てくれへんか」と彼女を二回へ誘い出したのである。そうして私はいきなり後ろから恵美子を抱きしめて、激しくうなじを吸った。
「あっ! なにするんえ!」
不意をつかれた彼女が慌てて立上ろうとするところを、私はすかさず引き寄せて、そのむっちりした腰をしっかり抱いたまま反物の上に横倒しにした。そして耳元に、
「恵美ちゃん、ずーっと以前から好きやったんや、あんたかて、ぼくの気持わかってるんやろ」
と熱っぽくささやくと、強引に仰向かせて、わななく唇を奪ったのである。
色白の彼女は顔から首筋、そして二の腕まで真赤になり、はっ、はっと息を乱しながら、
「ま、待ってえな、こんな、こんなところで、嫌……いやや」
と、あえぎ声をあげて身もだえしたのであったが、私はなおも攻撃の手をゆるめず、乳房をやわやわと揉みしだき、
「忘れてた男の肌、思い出させたげようて言うてるんやで」
とスカートの中に手をのばし、一気にパンティをずり下ろしたのであった。
そして、なおも逃がれようともがく恵美子の目の前に、例のピンク色の容器をポケットから取り出してポンと置いたのである。
(続く)
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