体験 台風と赤いハイヒール【5】
決行の刻 1
その日、私は寮の一、二階の各部屋を多美子と大城さんの三人で掃除した。ひと段落したのは午後二時を少し回った頃である。
多美子はショートパンツ姿でせっせと掃除に精を出し、かなり疲れた様子であった。
大城さんに夕方の副食物や茶菓子を買いに行かせた私は、多美子が子供達を昼寝につれていく際、「話があるから二階のP号室で待っている」と告げた。
他の寮室は全部入り口がガラスの引き戸であったが、このP号室だけはドア式になっており、裏通りに面してはいるものの物音があまり聞こえない。私はそこで新しい『奇譚クラブ』と、その掲載広告で購入したエネマプレイの組写真、イチジク浣腸一箱、さらに、もし抵抗があった場合に縛るための細紐も用意して彼女の来るのを待った。
やがて部屋へ入って来た多美子は、すっかり弛緩した様子で、私の手にしていた『奇譚クラブ』を手に取るとそのまま寝ころんで読み始めた。頃はよしとみた私は、エネマの組写真を多美子が開いている頁の上にそろりとのせた。
「何? これ」
好奇心を起こして中味をとり出した彼女は、チラとみて、「あ!」と声をあげた。
全裸の若い女性が後手に縛られて尻を高く突き上げたり、仰向けにされた姿勢でまさに浣腸されようとしている場面が写されているのである。
彼女は本の挿し画でそんな姿を見たことがあっても、写真で見るのは初めだったようで、「ようこんな写真とったもんやね」と、放心したように見つめている。
(続く)
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