告白=三田村祐二
【5】縄の下着
秋の色が濃くなった十月の半ば、妙子は私の部屋で上半身を露にしたまま、私から後ろ手に縛られながら言った。
「最初の時はびっくりしたわ。まるで強姦同然に犯されたんですものね。おまけにあそこの毛まで剃り落とされちゃって……。でも、三田村さんみたいな若い人にSMの趣味があるなんて信じられないわ」
それに対し私は、
「年は関係ないと思うけど……でも、女には誰でも多少の被虐願望があるっていうけど、本当らしいね」
しみじみとした口調で言った。
すると妙子は、ちょっと微笑んで、
「今日はお約束通り、娘を調布の妹夫婦の所は預けて来たわ。二十歳過ぎの坊やの言いなりになるなんてちょっとシャクだけど」
と言った。
私は、妙子とひと晩中過ごせる日を一日設けて、本格的SMの調教を施そう、と考えていたのだった。そして、その日がやって来たのである。
妙子を後ろ手に縛り終えた私は、いつものように腕の上から乳房へ縄がけをすることを止め、腋の下をくぐらせるようにして、胸への縄をかけた。
さらに、左右の乳房の谷間を短い縄で引き絞って、形を整えた後、両肩へヒモのように縄をかけて後ろで止める。そうすると“縄ブラジャー"ともいうべきものが出来上がる。
そうしておいて、萌黄色のプリーツスカートとバンテイを脱がせ、ウエストを締めつけた縄とつないだ、もう二木の縄を妙子の股にくぐらせ、きっちりと女芯を二つに割る縦縄をかける。もちろん、急所には結び玉が埋没するように、適当な間隔でコブを作っている。
「ああっ、この縄は……つらいわ」
これまでの緊縄プレイでも、妙子に縦縄をかけてやったことがあるが、そのたびに彼女は、
「縄が、ああ縄をはずして」
と言って身悶えたのであった。
乳房と女芯を縄でいましめた私は、妙子に萌黄色のスカートをつけさせ、後ろ手の拘束を解くと、縄ブラジャーの上からセーターを着せた。
「私をこんな格好にしてどうする気?」
私の意図を図りかねて、妙子が不安気な表情で尋ねた。
スカイブルーのセーターと萌黄色のプリーツスカートといったいでたちの妙子は、いかにも人妻らしい落ちつきと、女盛りの華やかさを合わせ持っていた。だが、その一枚下には、下着をつけていないばかりか、そのかわりに縄の衣装を施されてさえいるのである。私は妙子の姿を好まし気な目で眺め、
「さて、外へ出ようか」
と言った。
「ええっ、このままで? 私、恥ずかしいわ。それに、縄があそこを……とても歩けないわ」
妙子はためらいを見せていた。
私に初めて縄を受けた後、妙子は言ったものだった。
「今、SMってかなり一般的になってるでしょ。好奇心もかなりあるのよね。ただ同時に怖れみたいなものもあるから、何かきっかけがないと、その世界に入っていけないの」
と。そして、私によってそのきっかけを得た妙子は、かなり積極的に自ら縄に馴れようとしたようである。が、女芯を縦に割る羞恥縄に対しては、狼狽を隠しきれないでいる。
そんな妙子だから、縛られることには従順になってきてはいたが、縦縄をかけられての散歩に浚巡するのも無理はない。
しかし、私はこの日を本格的調教の日と思い定めていた。
私は妙子を井の頭公園近くの旅荘『井上』という所へ連れて行った。
(続く)
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