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▼ 読者体験告白「一度だけのアバンチュール」【6】

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投稿者=良田博美(仮名)


夫に言えない性癖――。鬱積した欲求不満は、ある日、人妻を危険な行動に駆り立てる。初対面の男に熟れた肉体を差し出し、マゾの悦びに溺れていく淫婦の長い1日は、彼女に何をもたらしたのか。『S&Mスナイパー』1982年7月号に掲載された読者告白手記を、再編集の上で全8回に分けてお届けしています。


【6】「両手を縛って……」と口にして

お風呂からあがると、豪華なダブルベッドに、Nはすでに裸で寝ていた。

「裸になって、こっちにきなさい」

厳しい命令の口調だった。それでも私は、決心してここまで来ておりながら、裸の姿を見られるのが怖かった。穴があったら入りたいくらいに恥ずかしかった。

パスタオルで乳房を隠して、脚からそっと蒲団にはいると、Nはふいに、私のバスタオルを引き毟ってしまった。恥ずかしさにふるえる私の腕を掴んで体を開かせ、乳首を左右交互に思いきり吸う。

ここまで来てもまだ叢(くさむら)を隠そうとする私の手をNは強く払いのけ、花芯をさぐり、何度も中心をなでてくる。

恥ずかしいほど濡れているのが自分でもわかった。と、思う間もなくNのものが私の中にはいってきた。

「あぁっ……」

つきぬけるような、空にすうっとのめりこんでゆくような気持のよさ。どれくらいの時間が経ったのかも分からない。私が夢の世界を浮遊している間に、Nは静かに果てていた。

私の中心から白いものが溢れていた。Nはそれを柔らかいチリ紙で丁寧にふきとってくれる。そうしておいて急に突きはなしたように天井を向くと、紫煙を無表情にふき上げているN。

少しも自分を失うといったところはない。私はNの手をとると私の胸にしっかり抱え、Nの目を見ながら「両手を縛って」と、小さな声で言った。
(続く)


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