魂の暗部を狙撃するSM情報ポータル SMスナイパー
▼ 読者体験告白「一度だけのアバンチュール」【8】

ichidodake_0007.gif

投稿者=良田博美(仮名)


夫に言えない性癖――。鬱積した欲求不満は、ある日、人妻を危険な行動に駆り立てる。初対面の男に熟れた肉体を差し出し、マゾの悦びに溺れていく淫婦の長い1日は、彼女に何をもたらしたのか。『S&Mスナイパー』1982年7月号に掲載された読者告白手記を、再編集の上で全8回に分けてお届けしています。


【8】ただ一度きりで燃え尽きる

すぐにNが後ろから私の中に入ってきた。

突き立てながら乳房を揉まれ、手の型がはっきりと残るほど強く、絞るように握られた。

痛みの中、長い痙攣が私を襲った。愛液がとめどなく溢れてくるのが分かる。それを丁寧にふき取る時、Nが「多いなあ、太ってるからかな」と言った。

間髪を入れず、また太いものが容赦なく私に突きささった。

今度は激しく揺さぶられながら歯をたてて噛まれた。はがいじめにされ、身動きできない姿勢で思いっきり噛まれると、鋭い痛みが震えるほどの悦びにすりかわる。

気づくと私は5回ものエクスタシーを迎え、体を波打たせながらケモノのように叫び狂っていた。Nが、そんな私を冷徹な目でじっと見詰めていたことを覚えている。


ふらつく足で街へ出ると、陽は西に傾いていた。真赤な夕陽がどんよりと鈍く光って見えた。

「さようなら」

一言だけ残して走り去っていったN。

私は、心の中で少しNを愛しはじめたように思ったが、それは非日常的な一日の燃えかすにすぎない。

「さようなら」

誰もいない虚空に向かって私は言った。

悲しい性よ。髪をふり乱して走ってゆけない私なら、また、常かわらぬ孤独な生活へと帰ってゆくしかないではないか。
(了)


《次へ 一覧 前へ》
上へue.gif


yoko.gifカテゴリ一覧へ
yoko.gifTOPへ
広告出稿お問い合わせ
広告に関するお問合せ
ご意見・ご要望
プライバシーポリシー
大洋グループ公式携帯サイト
COPYRIGHT(C)2008
WaileaPublishing