投稿者=良田博美(仮名)
【8】ただ一度きりで燃え尽きる
すぐにNが後ろから私の中に入ってきた。
突き立てながら乳房を揉まれ、手の型がはっきりと残るほど強く、絞るように握られた。
痛みの中、長い痙攣が私を襲った。愛液がとめどなく溢れてくるのが分かる。それを丁寧にふき取る時、Nが「多いなあ、太ってるからかな」と言った。
間髪を入れず、また太いものが容赦なく私に突きささった。
今度は激しく揺さぶられながら歯をたてて噛まれた。はがいじめにされ、身動きできない姿勢で思いっきり噛まれると、鋭い痛みが震えるほどの悦びにすりかわる。
気づくと私は5回ものエクスタシーを迎え、体を波打たせながらケモノのように叫び狂っていた。Nが、そんな私を冷徹な目でじっと見詰めていたことを覚えている。
ふらつく足で街へ出ると、陽は西に傾いていた。真赤な夕陽がどんよりと鈍く光って見えた。
「さようなら」
一言だけ残して走り去っていったN。
私は、心の中で少しNを愛しはじめたように思ったが、それは非日常的な一日の燃えかすにすぎない。
「さようなら」
誰もいない虚空に向かって私は言った。
悲しい性よ。髪をふり乱して走ってゆけない私なら、また、常かわらぬ孤独な生活へと帰ってゆくしかないではないか。
(了)
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