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▼ 読者投稿弄虐小説 「撮られた双つ花」【13】
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作=羽鳥止愁


N女子大学文学部教授、真鍋隆博、51歳。毎年、彼の元には単位欲しさにふしだらな取り引きを要求してくる女子学生が複数人やってくる。秘めたサディズムを胸に燃やして危険なコレクションを増やす初老の教授の、エスカレートしていく行為とは……。『S&Mスナイパー』1981年2月号に掲載された力作投稿小説を、再編集の上で全15回に分けてお届けしています。


【13】

「流して、ゆかりさん、流して」
「それがないのよ。コックがないの」
「そんな」

手にしていたアヌス栓を足台に置いて、ゆかりは水洗のコックを探していたのだが、見あたらない。

「ああ、いや――」

己の汚物が漂う透明の容器を見て、朱美は悲鳴をあげた。

「仕方がないわ。早く出ましょう。さ、拭いてあげる」
「うう……」
「大丈夫よ、さ、お尻を出して」
「ごめんね……かんにん……」

後ろ手錠の身ではどうしようもない。お尻を突き出し、その汚れをゆかりの手に委ねた。

真鍋は一部始終をカメラに収めていた。その鏡がマジックミラーだとは二人とも気付くはずもなかった。

二人が階段を降りるとき、ドドドドと、その排泄物は水と共に流れていった。真鍋が隣の部屋でコックを操作したのだ。、驚いて振り返った二人であるが、訳も分からないまま、階段を降りていた。

「ねえ、この首輪とれない?」
「とれないわ。嵌め込まれてるから、鍵が要るみたいよ」
「ああ、くやしいわ。……でも、ゆかりさん、あなたが、どうして……?」
「訊かないで、私はどうしてもいい所へ就職しなければならないのよ」
「可哀いそうに。それにしてもあの変態じじい。ゆるせないわ」
「ねえ、何をされるのかしら。私、ただ一度眼をつぶればいいと思っていただけなの」
「私もよ。高を括っていたのだけれど、それくらいではすみそうにないわね。二人一緒に呼んだのも、何か訳がありそうね」
「こわいわ」

朱美はゆかりを見た。大丈夫、私が守ってあげるわ……。今の自分の身では大したこともできないけれど、せめて、できる範囲で守ってあげるわ、と思わせるゆかりのいじらしさであった。

「まだかね。終わったら早くきたまえ」

ドアをノックして、真鍋が声をかけた。

ゆかりはドアを開けた。

「先生、一体、私達をどうする気?」

キッ、と真鍋を見て、朱美が強い口調で言った。

「おやおや、さっぱりしたら、また、君の負けん気が出てきた。まだ調教が足らんようだ」
「せ、先生、こんなひどいことしないで、首輪を取ってあげて。あんまりだわ」
「君は優しいね。任せておきなさい。君の就職は責任を持つからね」
「……」

ゆかりは黙ってしまった。
(続く)


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