作=羽鳥止愁
【15】
「ひどい……」
ゆかりは涙を滲ませた。朱美がこれだけのことをやられているのだ。私が何もないことはないと思っていたが……。おしっこを見せるとは。しかも、立ったままで、しかし……、しゃがんでするよりは、そのものを見られないで済む。でも、立ったままできるのかしら……。
「洗面器をまたいでごらん、大体、まっすぐ落ちる筈だから」
もう、どうにでもなれと思った。朱美のことを思い、裸の隅々まで見られていることを思い、ゆかりは神経を麻痺させた。
洗面器をまたいだ。 真鍋の指示通り、両手を頭の上に組んだ。
一点に神経を集中させた。
……で……でる……。
しょぼしょぼと、遠慮気に堰を切った条水は、たしかに、まっすぐに落下した。
(ああ、はずかしい、はずかしい……)
しょぼ、しょぼと、洗面器を叩く音が、ゆかりの全身を真っ赤に染めた。
「そのまま、しゃがんでみたまえ。膝を開いて」
「ククーッ」
従った。膝を開いて、勢いよく洗面器を小便で叩いた。
真鍋は、グーンとアップにその様相をとらえた。羞恥にくれるゆかりの顔も、アップでとらえた。
紙を渡してやり、その処理のところまでカメラに収めた。すすり泣くゆかり……。
このまま最後まで進めていこう、この二人のレズ・シーンなら、きっと記念すべき十巻目のテープにふさわしいものになる――真鍋はそう思い、グッと残酷な目を細めるのだった。
(了)
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