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▼ 読者投稿弄虐小説 「撮られた双つ花」【1】
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作=羽鳥止愁


N女子大学文学部教授、真鍋隆博、51歳。毎年、彼の元には単位欲しさにふしだらな取り引きを要求してくる女子学生が複数人やってくる。秘めたサディズムを胸に燃やして危険なコレクションを増やす初老の教授の、エスカレートしていく行為とは……。『S&Mスナイパー』1981年2月号に掲載された力作投稿小説を、再編集の上で全15回に分けてお届けします。


【1】

卒業を間近にすると、必ず、二、三人はこの話を匂わせてくる。
近頃の娘達は、とにかく楽な方法を選ぶ。自分の肉体を売る……、と言えば聞こえが悪いが、少なくとも利用することには、少しも後ろめたいところはないようだ。

よく言えばセックスを謳歌しているのだろうが、娘達のあまりにあけっぴろげな嬌態、見事なまでの開放感には、五十を過ぎた真鍋教授は、いささか辟易させられる。とくに集団の中に囲まれていると、そのむせるほどの色香は、むしろ嫌悪にも感じられ、胸苦しくもあった。

とはいえ、真鍋も男である。個人的に会えば、やはり、苦い娘の溌剌とした美しさは悪いものではなかった。

そして、この話を匂わせてくるのは必ず、自分の容姿に自身のある娘であるから、真鍋には、もう止められない秘かな愉しみになっていた。麻薬のようなものだなと思った。

真鍋隆博、五十一歳。N女子大学文学部教授――。

「フフ、あんな助平爺、いちころよ」

高津朱美は、挑発的なスタイルで大通りを闊歩していた。振り返る男達の視線にくすぐられながら、自信に充ちた曲線美は、正に恐いもの知らず。青春の真っ只中に君臨していた。真紅のミニのワンピースは膝上十五センチ、膝の下まであるブーツ。毛皮のコートは前をはだけ、裾を翻して脚線美を誇っていた。

朱美が真鍋教授宅に着いたのは、昼を少し過ぎた頃であった。アポはもちろんとってあり、着くと朱美は地下にある真鍋の研究室に通された。

「先生、地下にお部屋が……。凄いですわね」
「研究する時は誰にも邪魔をさせたくないのでね。ここなら誰も来ない。家内だってここには入らない。もっとも今日は出掛けて留守だがね」
「先生の聖域ですわね。でも、ここで何人の女の子が泣かされたんでしょうね」
「おいおい、人聞きの悪いことを言うなよ。君達を救けるためじゃないか。ぼくのほうからは何もしていないよ」
「そうかしら」
「何だよ、君。いいがかりをつけに来たのか?」
「いいえ、とんでもございません。只々、単位を頂きたいがためにお伺い致しました」

おどけた調子で、色っぽく品を作って、朱美は媚を振りまいた。

(フン、今にみていろ。その自信に満ちた高慢ちきな鼻をへし折ってやる)

真鍋は、胸の中で吐き捨てていた。
(続く)


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