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▼ 読者投稿弄虐小説 「撮られた双つ花」【8】
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作=羽鳥止愁


N女子大学文学部教授、真鍋隆博、51歳。毎年、彼の元には単位欲しさにふしだらな取り引きを要求してくる女子学生が複数人やってくる。秘めたサディズムを胸に燃やして危険なコレクションを増やす初老の教授の、エスカレートしていく行為とは……。『S&Mスナイパー』1981年2月号に掲載された力作投稿小説を、再編集の上で全15回に分けてお届けしています。


【8】

ぎこちない、遠慮がちな動きだったが、切羽詰まる便意には抗し得ない。感じた風を見せ、気をやった真似をしなければ……。それには、少しくらい、濡らさなければ。

指の腹全体でクレヴァスを上下させ、指先で鋭敏な蕾を刺激し始めた。

こんな異常な事態で、果たして、感じられるのか? 見られている恥ずかしさ、襲いかかる便意との板挾みのなかで、感じることができるのか? しかし、やらねばならない。やるしかないのだ。朱美は指の動きを、その感覚を求めて、激しくくねらせた。

「ああ……」

切ない吐息が洩れ始めた。声を出すことでさらに感情を昂めようとしている。事実、自分の声に刺激された。

その刺激に、感覚も目覚め出した。感覚と感覚がお互いに相乗し、朱美は、官能のうずきに悶え始めた。次第にその行為に没頭しはじめた。

「ああ……せ、先生、やっています。やっていますわ――」
「よしよし、もっとだ、もつとだ、朱美君。昇り詰めなければ駄目だよ。最後までいってしまうんだ。しっかり見ているからね、ごまかしはきかんよ」

まるで朱美を励ますように真鍋も昂奮している。

「ごまかしなんて、そんなッ。燃えていますッ――」

事実、もう、演技で止めようという気はなかった。押し詰められた異常な神経がそうさせるのか、自分から目覚めさせた肉欲の愉悦に溺れ込んだのか、朱美には、演技で終わらせる余裕などなくなっていた。

切迫する便意にも責め立てられ、自分の意志をコントロールする力を失くしていた。

懸命に括約筋を締め付けるその感覚すら、最奥の妖しいうずきに自ら連動させる。白い指が、激しく、ゆるやかに、そしてはげしく蠢き……。真鍋には、その指の動きが急流を逆のぼる若鮎を連想させた。

「せ、せんせい、いきます。もうだめ――」

腕全体が激しく動き、呼吸が切迫し、白い喉がのけぞった。おどろに乱れた黒髪が頬にまとわりつき、がっくりと項(うなじ)を折った。
(続く)


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