されど俺の日々【11】
されど俺の日々【11】
次々と凶悪な犯罪を繰り返す正太の犯罪者的性格は中学の頃から如実に現れていた。
●犯罪の匂い
一週間ほどの滞在中、女は殆んど毎日次郎の部屋を訪れた。
夜遅く帰ってくると、正太の存在など全く無視して、よがり声をたて始めるのである。
長い刑務所暮らしの禁欲生活の後の独身の正太にとってはたまったものではない。
最初は何と図々しい女だと思っていた正太も、女のあまりにも堂々とした喜悦の声を壁越しに聞いているうちに、どうやら二人は自分の存在を意識して、刺激を感じながら交わっているらしいと気付いた。
そうでなければあれほどあからさまに、
「いく」
とか、
「そこよ、もっと」
とか、
「舌でして」
とか言えるはずがない。
故郷への電車に揺られながら正太は夜毎の次郎と女の交わりを思い浮かべ、一人で興奮していた。
いい女だったな、小柄で腰の所がきゅっと締まって。
俺の好みだったな。
俺の顔を見てにっこりしてたな、しかし、どうして女というものは夜あんなことをしているくせに、朝になると、何にも無かったような顔が出来るのかな。
二時間ほどの車中、正太は女のことばかり考えていた。
そう言えはしばらく正太は女に接していなかった。
よし、今夜は女を見つけるか。
これで今夜の行動は決まった。
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