殺意の原点【12】
殺意の原点【12】
棄てられていた若い女性のバラバラ死体は、性器を抉り取られていた……。
●都合の良い真実
帰って来たその日、部屋に育枝の姿が見えません。
美容院にでも行っているのかなと、部屋の中で暫く待っていましたが、夕方になっても帰って来ません。
八時頃店に電話をすると、一週間ほど前に店を辞めたとのこと。
どうして辞めたのか、理由がわかりません。
待って居ようと横になると、いつの間にか眠ってしまいました。
午前三時頃でしょうか、帰ってきた育枝に起こされました。
大分酒を飲んでいるようでした。
いきなり着ているものを脱ぎ捨て、素っ裸になると、私にのし掛かってきましたので、私も服を脱ぎ挨拶がわりの交わりを持ちました。
野獣のような彼女の喜悦の声を楽しみながらクラブを辞めた理由を聞きますと、トルコに勤めることにしたとのこと。
これには流石に私も驚いてしまいました。
「どうしてトルコになど」
という私の問いに、
「だって、あなたのためよ、私お金を稼いであなたの選挙資金をつくってあげる」
というのです。
私は、そう言えば、
「トルコの方がクラブなんかよりは金が入ってくるよ」
と彼女に話をしたことはあります。
しかし彼女にトルコ風呂で働けというつもりではありませんでした。
セックスが大好きで、快楽を得ることが何よりも優先するようになってしまった彼女の体が、何のためらいもなく、彼女を不特定多数の男を相手に体を与える商売に結びつけてしまったのだと思います。
しばらくは私も悩みました。
私の愛人といっても良い女が、毎晩どこの何やら得体の知れない男に身を任せているのですから、後めたい気持ちとともに、嫉妬心も湧いてきました。
だが一方では、これで彼女と別れる口実が出来たという気持ちもありました。
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