闇の中の魑魅魍魎【12】
闇の中の魑魅魍魎【12】
身を挺して子供を守るべき両親は意外な行動をとった。
●人生の岐路
とまどっている誠子をみて男は椅子から腰を上げ、近づいてきた。
「おい、こっちへ来な」
男は誠子の腕をとった。
誠子は思わず体を固くした。
男性に体を触られるのは初めての経験だった。
しかも相手は、恐ろしい暴力団員であった。
男は誠子の腕をとると、台所を出て、向かい側の戸を開けた。
そこは六畳の広さの畳の間だった。
男が勢いをつけて、誠子の体を押した。
誠子は畳の上に倒れた。
倒れた瞬間、フレアスカートの下から、誠子の豊かな太股がその肌を見せた。
男の視線を肌に感じて、あわてて、スカートの布を足首の方向に引き下げた。
しばらくの沈黙の時が流れた。
男はどうしようというのだろう。
誠子は本能的に何か危険な臭いをかぎつけていた。
それにしても、母親はどこに行ってしまったのだろう。
父親だって普段の日には家にいる時間なのに。
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