闇の中の魑魅魍魎【13】
闇の中の魑魅魍魎【13】
日頃は軽蔑の念すら覚える両親であるが、蛇のような目をした男を目の前にしてさすがに救いを求めたかった。
大きな声で助けを求めたかった。
だが声を出すと男が逆上して何を仕出かすかわからないという不安感もあった。
結局、誠子は畳の上に倒れたまま息をひそめていた。
肩に男の指がかかったのを誠子は感じた。
それから後は、悪夢の時間だった。
肩に手をかけてから約三十分後、男は誠子の家を去った。
こうして十七歳にして処女を喪失した。
男の名は大利根二郎といった。
大利根が誠子に対し、弄虐の限りをつくし、その帰り際に言った。
「お前の両親もたいしたたまだな」
という言葉を誠子はぼんやりとした頭で聞いていた。
その意味は一カ月もたたないうちにわかった。
両親は、その娘を男に提供したのだった。
誠子は、利息の支払いのかわりの人身御供だったのだ。
何という両親だろう。
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