闇の中の魑魅魍魎【14】
闇の中の魑魅魍魎【14】
身を挺して子供を守るべき両親は意外な行動をとった。
●両親の選択
誠子が初めて男に体を弄ばされた日、誠子は二階の自分の部屋で一晩中泣き通しだった。
何故私がこんな目に会わなければならないのだろう。
最も嫌いな男に体を蹂躙されたのだ。
その日、親が帰宅したのは、男が帰って一時間もした頃であった。
今まで、夫婦そろって外出する習慣などなかった二人が、妹をつれて、夜の八時頃帰ってきたのだった。
だが、この日は、誠子は、両親の外出の意味を深く考えはしなかった。
男の来訪と、両親の外出との間には何の関連もないだろう。
両親がいなかったところへ偶然男が来たのに過ぎない。
そう誠子は考えた。
その夜、二階の自室の中で、誠子は何故、男の攻撃に対しすべてをかけて抵抗しなかったのかと自問した。
答えは自分でも明確にはわからなかった。
あの冷たい目のせいかも知れなかった。
あの目に射すくめられると、通常有している常識とか、行動とかが吹き飛んでしまうような気になる。
意思というものを根こそぎ奪われてしまう。
意思も気力も奪われて、どうして抵抗できるだろうか。
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