闇の中の魑魅魍魎【15】
闇の中の魑魅魍魎【15】
身を挺して子供を守るべき両親は意外な行動をとった。
●両親の選択
誠子はその時は、まだ両親が、自分を男に利息がわりに提供したことは知らなかった。
たとえ、男に言われても、信用できなかったであろう。
どんな親でも子供を外敵から防禦しようとする本能がある。
理屈や計算で子供を保護するものではない。
それ故、その気持ちはいかなる状況においても根強く、一貫性のあるものである。
子供の方でも、親が自分を守ってくれるという信頼があるからこそ甘えられるのである。
この信頼関係が親子をつなぐ絆といえるであろう。
誠子も、世間並みの両親ではないにしても、男に犯された最初の出来事だけで親を疑うことはさすがにできなかった。
疑惑の芽すら生じなかった。
そこまで両親を信頼していないわけではなかった。
そうではあっても、誠子は両親に、男から暴力を加えられたことは黙っていた。
黙ってはいたが、このままの状態でいれば大変なことになると思い、翌朝、母親に、久しぶりに口をきいた。
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