闇の中の魑魅魍魎【16】
闇の中の魑魅魍魎【16】
身を挺して子供を守るべき両親は意外な行動をとった。
●両親の選択
「ねえ、借金の方どうなっているの。どこかにみんなで逃げようよ。私いやよ、こんな家に住んでいるの」
母親は、必死で訴えかける誠子の視線を何故かそらし、小さな弱々しい声で言った。
「もう少し待ってね。そのうち、お父さんが何とかするから」
「お父さんなんてだめよ。酒を飲んでばかりいるだけよ。私家出しちゃうわよ。いやよこんよところ」
「お前、そんなこと言ったって……」
誠子は母親と話をしているうちに、急に情けなくなり、悲しくなり、昨夜より、もっと大粒の涙を次から次へとこぼし始めた。
一体、父や母は、私の気持ちがわかっているのだろうか。
私があんなやくざに辱めを受けたのは、もとはといえばみんな父の借金のせいではないか。
それなのに父は昼間から酒を飲み、母は、もう少し待ってねということしか言えないなんて。
誠子が男から二度めの凌辱を受けたのは、最初の時から二週間後のことであった。
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