されど俺の日々【17】
されど俺の日々【17】
次々と凶悪な犯罪を繰り返す正太の犯罪者的性格は中学の頃から如実に現れていた。
●襲撃
「おい、見ていろよ、目をそらせたりすると女の顔に傷がつくぞ」
男は一雄に、これから男が美代子に加える凌虐の振る舞いを見ることを要求した。
一雄の頭は、恐怖の極みにあった。
だから、後になって、この時のことを思い返してみても一雄は自分のとった行動が仕方の無いものだったのか、男として許すことの出来ない卑怯なものだったのか判断することは出来なかった。
つまり、一雄は男がその後二時間にわたり美代子を思いのままに犯す場面を一部始終見ていたのだった。
男の能力は異常だった。
一雄の記憶にあるだけで、男は実に美代子の体内に、七回の射出をした。
男の激しい腰の動き、美代子の荒い息づかいを目にし耳にしているうちに一雄は、次第におぞましい快感の波に襲われ、遂にズボンの中に精を吐出してしまった。
男は二時間にわたる凌虐行為の後、一雄に対し美代子と交わることを命じた。
流石に一雄はこれを拒絶した。
それだけのプライドはまだ彼にも残っていた。
「何を、生意気な」
男は一雄を自動車から引きずり出し、殴り倒した。
何発かを頭に受けているうちに、一雄は次第に意識が遠いものになって行くのを感じていた。
――俺の一生は終わった。
そう考えたことを後で一雄は思い出した。
正太には懲役十年が言い渡された。
美代子が自殺したのは判決の言い渡しがあった日の夕方であった。
酩酊運転をし、ダンプカーと衝突、即死に近い状態であった。
一雄が美代子の後を追ったのはそれから一週間後だった。
正太は今も刑務所で、健康すぎる肉体をもて余している。
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