闇の中の魑魅魍魎【18】
闇の中の魑魅魍魎【18】
身を挺して子供を守るべき両親は意外な行動をとった。
●質草
だが、父も母も、誠子の声が聞こえないかのように、何の反応も示さないで坐っている。
「おい、お前ら邪魔だ。出ていろ」
男が二人に命令するような口調で言った。
その言葉を待っていたかのように、二人は下を向き、誠子の姿を目に入れたくないかのように、足早に外に出ていった。
誠子には信じられない光景だった。
親が実の娘をやくざの男に預けて、席を外したのだ。
どういうことなのだろう。
心が散々に乱れている誠子の、その内心を見抜いたのだろうか、男が低い太い声で衝撃的な話をした。
「俺はな、お前の親父に一千万円の金を貸しているのだよ。本当は、この家からお前ら家族に出て行って貰わなければならないのだが、行くところがない、しばらく住まわせてくれと頼まれているから仕方なしにお前らをここにおいているんだ。一千万円は、死んででも返して貰う。このままにしておくと俺の顔がつぶれる。お前は、今日から俺の情婦だ。いいか。うらむなら親をうらめ」
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