闇の中の魑魅魍魎【4】
闇の中の魑魅魍魎【4】
身を挺して子供を守るべき両親は意外な行動をとった。
●序曲
間野誠子の両親は、四国にある県の港町で酒屋をやっていた。
誠子の姉妹は、六歳離れた妹一人であった。
誠子が物心ついた頃、既に父親は賭事にのめり込んだ生活を送るようになっていた。
夜になると、どこかに出かけて行き、帰ってくるのは翌朝二時、三時になるのも珍しくはなかった。
母親は気の弱い、夫に対しては従順な、それ故、夫の乱行を何ら諌めることの出来ない性格の女であった。
夫は、殆んど店の仕事をすることはなかったから、商売の方は彼女一人で何とかこなしている毎日であった。
彼女が人並みに気の強い女であれば、こんな夫を持てば、連日すさまじい夫婦喧嘩に明け暮れたであろうが、彼女の気の弱さ――それは外部から見れば、一種のだらしなさにも受けとれるものであったが――の故に、夫婦の間には、近所の注意を引くほどの争いは起こったことがなかった。
上へ |
カテゴリ一覧へ TOPへ |
■広告出稿お問い合わせ ■広告に関するお問合せ ■ご意見・ご要望 ■プライバシーポリシー ■大洋グループ公式携帯サイト |