闇の中の魑魅魍魎【5】
闇の中の魑魅魍魎【5】
身を挺して子供を守るべき両親は意外な行動をとった。
●序曲
誠子が高校に入学する頃までは、それでも何とか破綻することなく家庭と呼べるかどうかわからないシロモノではあったが、家族四人の生活は維持されていた。
だが悲劇はこの頃から徐々に芽を吹き出していたのである。
誠子の住む港町に勢力を張っている暴力団にY組系S組というのがあった。
Y組は全国最大の暴力組織であり、常に全国を掌中にせんとしているその活力には凄じいものがあった。
S組もその傘下の故か、あるいは気性の荒い港町に根を張る故か、凶暴なことでは四国中に名を知られていた。
他の会派に属する組織が進出を図るたびに、血で血を洗う抗争が起こり、そしてS組は他の組織の流入を阻止してきた。
暴力団といえども人間であり、食べて行かねばならない。
そのためには金が必要である。
その主な資金源としては飲食店からの用心棒代、売春、麻薬、賭博、あるいは表面的には正業を装った飲食店や土建業の経営などがある。
これらのパイを分けあう人数は少ないほどよい。
同業者が増加すると共倒れになる可能性が高くなる。
それ故、彼らは他の組織の進出阻止に全力を挙げてたち向かうのである。
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