闇の中の魑魅魍魎【7】
闇の中の魑魅魍魎【7】
身を挺して子供を守るべき両親は意外な行動をとった。
●家庭の崩壊
誠子の父親がS組の主催する賭博で多額の借財を負い、それを埋め合わせるために、S組の組員が経営する金融会社から高利で金を借り、首が回らなくなってしまったのは、誠子が高校三年になった時のことである。
最初借り入れた三百万円の負債は半年もたつと利息を含めて九百万円にもなっていた。
勿論、法律に従って計算すれば半年の間に負債額が三倍にもふくらむということはあり得ない。
利息制限法に従って計算すれば、一年間借りていても四十五万国の利息にしかならない。
この差額の恐ろしさが高利金融の特徴であることは既に述べたとおりである。
九百万円にも負債がふくれ上がった頃から、一見してそれとわかる人相の悪い、陰険な目付きをした男が度々誠子の家を訪れるようになった。
男は、家の中に入っても、口数は多くなかった。
一言、二言、父親や母親に言葉をかけるだけで帰っていった。
金融業者がよくやるように、返済をしない相手の家に来て、一晩中悪態をつき、怒鳴りちらし、ペンキを塗りつけるというようなことは全くしなかった。
夕方ふらりとやってきて、ドスの効いた低い声で、一言、二言何ごとかを父や母に言い残す上すぐに帰っていった。
上へ |
カテゴリ一覧へ TOPへ |
■広告出稿お問い合わせ ■広告に関するお問合せ ■ご意見・ご要望 ■プライバシーポリシー ■大洋グループ公式携帯サイト |