闇の中の魑魅魍魎【9】
闇の中の魑魅魍魎【9】
身を挺して子供を守るべき両親は意外な行動をとった。
●家庭の崩壊
親としての資格を全く欠いているとしか思えない両親を目の前にして、誠子の気持ちは揺れに揺れた。
誠子は十七歳であった。
人生のうちで最も感受性の強い時期であった。
これからどうなるのだろう。
土地建物を手に入れたとしても、S組はまだまだ貪欲に獲物を我がものにしようとしてくるだろう。
この間、男がきた時、確かに、まだ五百万円残っているのだぞ、という冷たい声を聞いた。
利子が利子を生んで、男が一千万円になったと言うのも時間の問題だろう。
この先一体どうなるのだろう。
誠子は高校を卒業したら大阪か東京に出て就職しようと考えていた。
クラスメート達はほとんど進学希望だった。
誠子も入学した当初は地元にある短大へ進もうと考えていた。
だが家がこんな状況になった今、とても学費を払って勉強を続ける余裕などない。
そして何よりも誠子にとって気掛かりなのは、六歳年下の妹のことであった。
妹は今小学校五年であった。
誠子に比べればまだまだ幼い。
両親が頼りない今、私が少しでも仕送りをして助けてあげよう、そう誠子は考えていた。
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